産科“空白地”の秦野市 診療所開設へおおむね合意 246号沿い市有地で調整中

秦野市役所

 産科“空白地”の神奈川県秦野市が、新たな産科医療施設の開設に向けて、医療法人とおおむね合意したことが30日、分かった。県の医療法上の手続きを経た後、市と法人が連携協定を結び、開設へ動き出す。

 複数の関係者によると、開設するのは病床が確保され、産科医が常駐する産科診療所(クリニック)で、国道246号線沿いの市有地に建設する方向で県外の法人と調整中という。

 秦野市の昨年の出生数は739人で、10年前の1258人と比較すると、4割以上減っている。市は子育て政策の充実を掲げ、2023年度予算では施設誘致や分娩(ぶんべん)再開に向けて「産科有床診療所の施設設備等への支援」として事業費1億円を計上。周産期医療の整備・充実を図り、安心して妊娠・出産ができる環境づくりを目指している。

 これまでの同市内の分娩取り扱いを巡っては、中心的な存在だった「秦野赤十字病院」(同市立野台)が15年2月を最後に受け入れを休止。今月に入り唯一の受け入れ先だった産婦人科医院も取り扱いを休止し、分娩取り扱い施設がなくなっていた。

 高橋昌和市長は同赤十字病院の分娩再開を公約に掲げ、医師を派遣する大学病院に出向くなどし医師確保に動いているが、実現に至っていない。同市長は今後も施設開設とともに、赤十字病院の分娩再開にも継続して取り組んでいくという。

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