ALPS処理水海洋放出には科学的議論をと外相

 福島第一原発事故で増え続ける放射能汚染水のALPS処理水(放射性物質トリチウムは含む)海洋放出について中国は日本政府が近く海洋放出するとしていることに強く反発、林芳正外務大臣と中国・秦剛(しん・ごう)国務委員兼外交部長との会談でも懸念が示された。

 林外相は会談後の記者会見で「ALPS処理水の海洋放出については、私から中国側の科学的根拠に基づかない対外発信に抗議し、科学的見地に基づいた議論を行うよう強く求めた」と語った。海洋放出に関しては国際環境保護団体はじめ周辺諸国からも懸念の声があがっている。

 今回の日中外相会談では外務省によると「日中両国に様々な可能性があるが、同時に数多くの課題や深刻な懸念に直面して非常に重要な局面にある」との認識を共有。「日中両首脳の共通認識を実施に移していくため、双方が努力を続けていきたい旨を林外相は述べ、秦剛部長から同様の考えが示された」としている。

 また林外相は「尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢、ロシアとの連携を含む中国の我が国周辺での軍事活動の活発化等について深刻な懸念を改めて表明した」とし「双方は安全保障分野を含めた意思疎通の重要性を改めて確認。近く日中高級事務レベル海洋協議が4年振りに対面で再開されることを評価する」としている。(編集担当:森高龍二)

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