多様性あふれる春日井市にしたい!「春日井虹色さぼてん」代表、社会民主党・小嶋さゆり氏インタビュー(PR)

小嶋さゆり氏は、ご自身の性に違和感がありながらも50代後半まで男性として暮らしてきたトランスジェンダーです。LGBTQ当事者の集いを見つけてさまざまな人と話すうちに「自分のことが少しずつわかってきた」そうです。

それから10年以上もの間、LGBTQのためのイベントや名古屋市で集う「虹色グラカフェ」、またSNSによる発信などを行ってきました。また2021年には団体「春日井虹色さぼてん」を設立しています。

そんな小嶋氏に、政治の道を歩む理由や実現したい政策について伺いました。

「生きづらさ」を感じている人の力になりたい!

選挙ドットコム編集部(以下、編集部):

政治の道を歩む理由を教えてください。

小嶋さゆり氏(以下、小嶋氏):

私は長年、中高年層向けのパソコン教室を経営してきました。そこで出会った人たちや、知り合いを通して出会った方々と交流するなかで、社会的弱者の悩みに耳を傾けることがありました。

地域社会には、家庭や会社における男女格差やひとり親の出産育児などさまざまな問題がありますが、行政による支援が足りないと感じています。また私を含むLGBTQ(性的少数者)に関しても、誹謗中傷や不当な待遇を受けるなど厳しい現実があります。

誰にも言えずに「生きづらさ」を感じている当事者が少なくありません。苦しんでいる方々に行政がもっと手を差しのべ、少しでも住みやすい地域社会を目指すべきだと考えまして、政治の道に進むことを選びました。

LGBTQに関しては、身近に当事者がいなければ理解しにくい現状があります。そこで、私のような当事者が普通に暮らしていることを知ってもらいたいと思ったんです。

私は、ご要望に応じてLGBTQについて理解を深めるために講習会を開いています。誤解や偏見をなくして弱い立場の人たちが遠慮なく人生を楽しめるようにしたいです。

講習会で講師をしている小嶋氏

LGBTQ当事者に立ちはだかる壁とは

編集部:

LGBTQ当事者のためのコミュニティを始めたきっかけについて教えてください。

小嶋氏:

私は昭和20年代の生まれで、LGBTQのことは全く知らない世代の人間です。長年悩んできましたが、新聞で知った性的少数者が集まるお店に行ってから変わりました。さまざまな当事者の方々と話すことができたからです。

次第に自分の性を認識できるようになりました。勇気を振り絞ってジェンダークリニックに行ったら「性同一性障害」と診断され、67歳のときに性別適合手術を受け、戸籍上も女性になりました。

私の場合、当事者や理解のある人たちに恵まれていたことが大きいです。だから、未だ誰にも言えずに悩む当事者や性に違和感を持っている方の力になりたいと思いました。

編集部:

LGBTQ当事者が抱える課題は何でしょうか?

小嶋氏:

人それぞれですが、共通していることは「法律の壁」です。同性愛者は生涯寄り添うパートナーを見つけても、日本では結婚できません。一緒に暮らす部屋を見つけるのにも一苦労します。大家さんが嫌がって契約できないことがあるからです。

自分の性をカミングアウトしていない人は、家族に話すことにも苦悩します。性別を変えるときも高額な手術を受けなければなりません。既婚者や未成年の子どもがいる場合は性別を変えられないという法律の壁もあります。

それに誹謗中傷を受けたり就職で差別を受けたり、職場でハラスメントを受けたりと、精神的に追い詰められることも少なくありません。支援の手が届かず一人で悩んだ結果、命を絶ってしまう方もいます。

「第1回R65全国どきTuberコンテスト」の受賞式会場にて

編集部:

それは大きな問題ですね。コミュニティで得られた成果はありますか?

小嶋氏:

もちろんあります。私が代表を務める「春日井虹色さぼてん」は、昨年春日井市に要望書を提出していましたが、市長と男女共同参画課の方々と懇談する機会をいただきました。

そこで、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の周知と、LGBTQについて理解を広める施策の実施をお願いしました。

「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」とは、同性カップルやその家族がパートナーや家族の関係にあることを市が認める制度です。

春日井市では、2022年7月からLGBTQ当事者の採用や受け入れ体制を整備していることを証明する「LGBTQフレンドリー企業登録制度」にも取り組んでいます。しかしこの制度は未だにあまり知られていないので、積極的に周知しなければなりません。

また、春日井市の80周年事業では「春日井虹色さぼてん」の企画で、LGBTQ映画の上映と講演会が実施されることが決まりました。学校の教員や市内の企業人に来てもらって、少しでもLGBTQの理解につながればと期待しています。

心の痛みがわかるからこそ、困った人に寄り添いたい

編集部:

これから取り組みたい政策について教えてください。

小嶋氏:

大きく3つに分かれます。まず市民が困ったときにワンストップで対応できる「多様性推進課の設置」です。ひとり親世帯や一人暮らしの老人、障がい者、性的少数者もそうですが、社会的弱者が困ったときに頼れるシステムを作ります。

LGBTQなら「男女共同参画課」、高齢者なら「地域福祉課」などと、担当部署がありますが、いざ助けが必要になったときどこに電話したらいいのか迷うと思います。だから、総合窓口としてホットラインを設置するなどの対策が必要です。

私も一人暮らしをしていまして、救急車で病院に運ばれた経験があります。近隣に家族がいないのでとても不安でした。幸い知人の助けを借りることができましたが、救急車で運ばれたとき「着替えもなくお金もなかったら、誰が助けてくれるだろうか」と思ったんです。

あと、私には頼れる家族がいないひとり親の知り合いがいます。彼女の出産の際に、私たちでどうにか支援することができましたが、もし彼女が完全に孤立していたらと思うとぞっとします。こんなときこそ、総合窓口としての多様性推進課が役立つのではないでしょうか。

編集部:

2つ目の政策についても伺わせてください。

小嶋氏:

子どもたちへの「主権者教育」です。春日井市の2019年の市議会議員選挙の投票率は35%しかありませんでした。若者の政治離れは深刻です。だから、行政に興味を持ってもらえるように、身近な社会問題に関する教育の機会を設けます。

例えば、市議会と同じように小学生向けの「子ども議会」を実施して、地域社会の問題について意見を出し合ってもらいます。そして将来的には、選挙や行政に積極的に参加してもらえるように変えたいです。

編集部:

3つ目の政策についても教えてください。

小嶋氏:

「女性が活躍できる社会や職場環境を整備すること」です。具体的には、セクハラやパワハラに悩む人のためにハラスメント相談窓口を作りたいです。

実際、職場でのハラスメント被害にあうのは女性が多く、辞めて泣き寝入りするケースが少なくありません。加害者はそのままで、次に入った社員も被害にあってしまっては悪循環です。

まずは悩んでいる人向けに相談窓口を設置し、被害者の権利を守りながら、女性が活躍できる制度作りに発展させたいです。女性の活躍を妨げることがないように、市や企業と連携して男性向けの各種講座を開催したいとも思っています。

そばに居続けることが大切!多様性のある社会を目指す

編集部:

精力的に活動されていてご多忙かと思いますが、好きなことやフリータイムにしていることはありますか?

小嶋氏:

私は昔からパソコン関係の仕事をしてきましたし、趣味もパソコンです。2021年に、65歳以上しか応募できない動画コンテストを偶然見つけて応募したところ、なんとグランプリをいただいてしまいました!

表彰式では、あの上野千鶴子さんが審査員としていらしたのですが、直接お話しすることができてとても感激しました。

それから、私はもともと音楽が好きです。学生のころはバンドでギターをひいていました。先日思い立って安いギターを買ったので、猛練習してまた演奏したいですね。

また、シンガーソングライターの中村中さんのファンです。特に「友達の詩」が好きで、自分でも演奏したくてピアノを習い始めてしまいました!とはいえ、ヤマハの教本の初歩から習っているので道のりは長いですが(笑)。

編集部:

他にはいかがですか?

小嶋氏:

これは活動とも好きなこととも言えることですが、先日知り合いが運営している「子ども食堂」に訪問して子どもたちと話してきました。子どもたちは、大人の私たちが忘れてしまった純粋さを持っていると思います。

「こんなことを聞いてもいいのかしら」と思うようなことでも、表裏なくストレートに聞いてきます。発言によって嫌な思いになることはありません。私たち大人も、子どもたちのように素直にコミュニケーションがとれれば、風通しのよい社会になるのではと思いました。

「子ども食堂」を訪問した小嶋氏

編集部:

LGBTQの方々への誹謗中傷や差別をなくすには、どうすべきだと思いますか?

小嶋氏:

「性的少数者が身近にいる」ことが当たり前になることが大切だと思います。私が初めてカミングアウトして女性の恰好をしたとき、パソコン教室の受講生の方に「気持ち悪い」と言われたことがありました。

幸い教室は辞めずにいてくれましたが、あれから何年もの間、女性になった私が身近にいたわけです。数年たったある日、他の人がその受講生だった方に「先生についてどう思う?」と聞いたのですが、こう答えていました。「個性ですから。どうやって生きようがいいと思います!」と。

そのとき確信しました。「私のような人間の存在が、当たり前になればよい」と。人は自分が理解しがたい未知のものが怖いので、排除したくなるんです。だから覆い隠すことなく身近に居続けることが大切だと思います。

編集部:

最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

小嶋氏:

社会にはいろいろな人がいますが、LGBTQの当事者もそうではない人も対立することなく、歩み寄ることが大切です。私は個人の多様性を認め、誰もが楽しく暮らせるように行政を変えていきたいです。

すべての人が住みやすく、移り住みたい町づくりに尽力していきます!楽しく生活できる町にしましょう。

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