<社説>日ロ首脳会談 領土問題で具体的成果を

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 安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領と会談し、懸案の北方領土問題に関し、今までのアプローチとは違う「新たな発想」で交渉を進め、現首脳間で解決することで一致した。また両首脳は9月に極東ウラジオストクで開く「東方経済フォーラム」に合わせ、再会談することにも合意した。問題解決に向けた進展を期待したい。 北方領土問題とは、1945年8~9月にソ連軍が択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島に侵攻し、ロシアが現在も占拠している問題だ。56年の日ソ共同宣言には平和条約締結後に色丹、歯舞を引き渡すと明記された。日本は「北方四島の帰属が確認されれば、返還時期と方法は柔軟に対応する」との立場だ。ロシア側は「第2次世界大戦の結果、四島はロシア領の一部となった」と主張し、実効支配している。

 今回、両首脳は非公式の位置付けで、ロシア南部のソチで会談した。約3時間に及び、うち35分間は通訳だけを入れた2人きりでの協議だ。突っ込んだ意見交換が交わされたとみられる。

 領土問題はトップが決断しなければ動かないのは事実だろう。そういう意味で首脳会談を重ねることは重要だ。今回の安倍首相のロシア訪問に対し、オバマ米大統領が2月の日米首脳電話会談で、ロシア訪問を自粛するよう求めたことが分かっている。ウクライナ情勢を念頭に「日ロ接近」を懸念したためだ。対話を閉ざすような米側の圧力は内政干渉も甚だしい。

 今回一致した「新たな発想」による交渉の具体的内容は明らかにされていない。しかし領土問題を解決する道は簡単ではなさそうだ。

 プーチン氏はロシアの景気後退下で9月に下院選を迎える。2018年の次期大統領選も控えており、内政問題に力を入れる必要がある。国民感情を刺激する領土問題での譲歩は極力避けようとの思惑が強く働くだろう。

 さらに今年3月、ロシアの国防相が北方領土の択捉、国後島を含む「大クリール諸島」に太平洋艦隊の艦艇を配備するための基地設置の検討を表明した。対立を深める動きは慎むべきだ。

 今回の会談で安倍首相は、極東地方の振興など8項目の協力案を示し、プーチン氏も歓迎した。今後も首脳会談を重ね、政治対話を加速させ、領土問題解決の具体的成果につなげてほしい。