【連載コラム】MLB全30球場を制覇 第15話 MLB最高峰のホームランパーク

澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。

MLB最高位のホームランパーク

雄大な「ロッキー山脈」が南北に広がるコロラド州に、「ロッキーズ」の本拠地はあります。1995年に誕生した「クアーズ・フィールド」は、標高1マイル(およそ1600m)という、“MLBスタジアムで最も高い場所”に位置しています。

高地ならではの低気圧は、野球にも影響を及ぼします。空気抵抗が少なく、ボールが良く飛ぶ、打者有利のヒッターズパークなのです。実際にMLBのパークファクターを見ても、”圧倒的に打球飛距離が長い”というデータが出ています。大迫力のホームランと、大自然の恵みを楽しみに行きましょう!

クアーズ・フィールドへ

「デンバー国際空港」は、アメリカ大手「ユナイテッド航空」のハブ空港で、国内線の乗り継ぎでも多用され、とても便利です。ダウンタウンに向けては、鉄道「A Line」が通っています。車窓からは、山頂に雪をかぶった「ロッキー山脈」が見えるはずです。

40分弱で「ユニオン駅」に到着。州都「デンバー」は近代的なビル群と、歴史的建造物が交わります。街の景観に合わせた、レトロな赤レンガと鉄骨で造られた外観です。メインエントランスの時計台が見えてきたら…Coors Field! Nice to meet you!

大自然と地域文化の調和

スタジアムに入ると、コロラドの自然をモチーフにしたものが出迎えてくれます。レフトにある山型の巨大スクリーンや、センターのバックスクリーンの木々や岩々は「ロッキー山脈」をイメージしています

[広い空の下、まるで芝と森が繋がったよう](

三階席にも特徴があります。通常シートは緑色なんですが、ぐるりと一列だけ、チームカラーの紫色が取り囲みます。ここが、ちょうど標高1マイル(約1600m)の高さであることを示しているんです。そこから見渡す景色は、まさに絶景

[パープルシートに座れば、特別感を味わえそう](

可愛い恐竜のマスコット「ディンガー」は、ボールパークの建設中に、化石が見つかったことに由来しているそうですよ!

Ballparkの楽しみ方

球場内のビアバー「サンドロット・ブルワリー」には、大きなタンクが並びます。なんと、ビールの醸造所があるんです。球場名にもなっている「クアーズ」は、コロラドが世界に誇るビール会社。MLBで初めて、球場内での醸造に成功しました。ここで作られた「ベリースライド・ウィット」が、日本でも愛される「ブルームーン」のルーツです。

地元の伝統料理「ロッキー・マウンテン・オイスターズ」は、牛の睾丸のフライ。これがなんと意外や意外!砂肝のような食感と、唐揚げのような美味しさで、ビールとの相性も抜群なんです!

また、試合後の花火が圧巻です。解放されたグラウンドに行けば、真下にいるような感覚で。高さを活かしたスタンドからは、目線の高さで。夜空に輝く大輪を、臨場感たっぷりに楽しむことが出来ます。

[7月上旬には、アメリカ独立記念日を盛大にお祝い](

オールスターゲーム2021

2021年の夏、コロナ禍のパンデミックから日常生活を取り戻そうと試みていた頃、オールスターゲームのホストを務めたロッキーズは、人々が安心して集える環境を整えることに全力を注ぎました。この第一歩が、のちに大規模イベントが開催されていく、資金石となったのです。

次回は、2020年の延期を経て、昨年2022年シーズンのオールスターゲームを開いた「ロサンゼルス・ドジャース」の「ドジャー・スタジアム」編をお届けします!

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福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎

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