候補調整の失敗がそのまま維新に「漁夫の利」

 今回の地方統一選挙で注目された選挙区の一つに保守分裂のまま選挙戦に入った奈良県知事選挙がある。高市早苗経済安全保障担当大臣が候補一本化を図れなかった失敗がそのまま響き、漁夫の利で、日本維新の会公認候補の前生駒市長・山下真氏(54)が初当選。大阪以外の都道府県首長では初の首長誕生につながった。

 知事選挙は山下氏と高市氏が総務大臣だった際の秘書官で元総務官僚の無所属新人・平木省氏(48)、無所属で現職、5選を目指した荒井正吾氏(78)の事実上の三つ巴となった。

 このほかに共産党などでつくる市民団体が擁立した無所属新人・前大和郡山市議の尾口五三氏(72)、無所属新人で元中学講師の西口伸子氏(68)、無所属新人で会社員の波多野貴至氏(43)が立候補していた。

 山下氏の得票数は26万6404票、平木氏の得票数は19万6729票、荒井氏は9万7033票。尾口氏1万9861票、西口氏1万3034票、波多野氏6806票だった。

 平木氏と荒井氏の得票数を合わせると29万3762票となり、保守一本化が図れていれば山下氏の得票数を2万7358票上回っており、僅差で維新に首長ポストを明け渡すことは防げた可能性が高く、高市氏の県連会長としての候補調整過程での強引な手法がそのまま響いた。

 高市氏は「県連会長でありながら国会答弁に追われ、高熱が続き、張り付きで応援が叶いませんでした。深くお詫び申し上げます」とのコメントを平木氏の事務所に寄せた。選挙結果を真摯に受けとめるとしているが、このまま県連会長を続けるのか、引責辞任するのか、対応に関心が集まっている。(編集担当:森高龍二)

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