宝塚市民としての誇りと愛着を持てるまちを目指して ブレずに、まっすぐ! 宝塚市議会議員・寺本さなえ氏インタビュー(PR)

宝塚歌劇団があることで知られる宝塚市。一方で「街から“宝塚らしさ”が失われつつある」と危機感を口にしているのは、市議会議員の寺本さなえさん。

寺本さんは宝塚市民が誇りと愛着を持てる街にするために、芸術・文化・景観で「魅せる」ことを目標に活動しています。また、自身がキャリアを積み重ねながら子育てしてきた経験を活かし、子育て支援についても様々な提言をしてきました。

今回は寺本さんに、宝塚市議会議員としてこれまでにやってきたことと、これからのビジョンについてお話を伺ってみました。

学童保育室の建て替え問題を率先して勧められた政治家という選択肢

選挙ドットコム編集部(以下、編集部):

政治家になられたきっかけを教えてください。

寺本さなえ氏(以下、寺本氏):

事の始まりは、わが子が通っていた小学校の地域児童育成会(学童保育)室の建て替えについてある提案をしたことでした。児童数の増加に伴って空き教室がなくなり、校庭に専用棟を建てる話が出てきたのです。

計画を聞いてみると、新しい建物はプレハブで、3000万円もの予算が付いていました。特別な設備もないのになぜそんなにかかるのか。疑問をもった私たち保護者は、教育委員会に対して新たな提案をすることに。

その中で、新聞社を辞めてフリーランスに転じたばかりの私が仕切り役になっていき、それを見ていた周囲の方から「ぜひ議員に!」と言っていただけるようになりました。

編集部:

学童保育室の建て替えは、どのように落ち着いたのでしょうか?

寺本氏:

「子どもの心と体と環境にやさしい」ログハウスを提案したんです。担当課長は「頭おかしいんちゃうか」と言わんばかりの塩対応(笑)。実現するためにはコストを抑える必要があって、調べていくと、兵庫県に「林業・木材産業成長産業化促進対策交付金」がありました。

ところが、交付金は学校の教室には適用されるものの、学童保育室は対象外。

「林業振興が目的の交付金が、同じ敷地内にあって、同じ子どもたちが利用する建物に使えないのは無意味」と、当時の県議会議員に運用を見直せないか相談しました。

それからも行政が次々に出してくる難題をあの手この手で乗り越え、全国でも珍しいログハウス風の学童保育室が実現できたのです。

ちなみに、この時に掛け合った県議さんからも「あなた、議員になりなさい」と勧めていただきました(笑)。

編集部:

それまでは政治に関心はあったのでしょうか?

寺本氏:

いえ、全然です。市長の名前を辛うじて言える程度で。

保育所保護者会の代表として対市交渉に臨んだり、大学教員のワーママとファミリーサポート制度を研究・提言したりはしましたが、ワンオペ育児と仕事でパツパツの日々。

「市議に」と言われても逃げまくっていました。

編集部:

最終的に政治家を目指すことになった決定打は何かあったのでしょうか?

寺本氏:

男女共同参画を掲げて活動していた先輩女性たちに説得されたのです。男性中心、ムラ代表か政党議員が占める中、自分たちの代弁者を立てなければと考えておられて。私の学童保育事件での働きぶりを聞きつけて、熱烈にアプローチしていただきました。

これだけ言われて辞退したら、自分に市を批判したり提言したりする資格はなくなると思いました。おとなしく暮らすか(笑)、落ちるだろうけど出馬して、もの言う市民で居続けるかのどちらかです。

それで、私は決断しました。

女性がキャリアと子育てを両立できるようにさまざまなことを提言

編集部:

宝塚市議会議員になって20年になりますが、これまで取り組んだことについて教えてください。

寺本氏:

一番に挙げるのは、子育てと仕事の両立を支援するようあらゆる提言をしたことです。

私自身、新聞記者をしながら、夫の転勤でひとり子育てを担うことになって、とても苦労しました。当時は、子どもができたら家庭に入るのが当たり前の時代で、共働きの環境はまだまだ不十分でしたから。

しかも宝塚市は「保育所待機ワーストワン」、全国でですよ。病児保育もなく、絶対に仕事を休めないときに熱を出した子を連れて出勤した日の情けなさを、私は一生忘れません。

それで、保育の充実を訴え続けてきました。

編集部:

具体的にはどのようなことでしょうか。

寺本氏:

待機児童を解消するために「質より量」の保育政策をとる自治体もありますが、私は「質も量も」求めてきました。保育所は子どもたちが生活し、育っていくところですから、園庭や保育室、給食などがそれにふさわしいものでなければなりません。

それから、病後児・病児保育、休日保育、学童保育の時間延長。どれも働く親の悲願でした。

母親の離職というところに関連してもう1つ挙げると、社会復帰をしやすくするためにキャリアアップ支援も必要です。

このような取り組みもあって、有名経済紙が発表する「共働き子育てしやすい街ランキング」で昨年、宝塚市は関西で8位、兵庫県内3位の評価をいただきました。

芸術・文化・景観で魅せる街づくり

編集部:

宝塚市と言えば歌劇団で有名な街ですが、実際に市政に携わってみてどのように捉えていますか?

寺本氏:

正直、阪神淡路大震災を機に「宝塚」のシンボルが30年間で失われつつあると感じています。

老舗遊園地である宝塚ファミリーランドが2003年4月に閉園。その跡地に植物園ができましたが、こちらも2013年4月に閉園してしまいました。

他にも観光花火大会や歴史的建造物などが次々と消えてしまっています。

特に残念だったのは旧宝塚ホテルです。阪神間モダニズムを代表する建築家・古塚正治氏が手がけ、映画人にも愛された瀟洒な建物が老朽化を理由に解体されてしまいました。建物の一部を保存・利活用できないか、私も市民や専門家たちと懸命に模索しましたが、叶いませんでした。

最近では、景観スポットとして人気のガーデンブリッジ「宝塚大橋」が県の改修事業で味気ない、ただの道路にされそうになりました。ヅカファンの聖地といわれる橋ですよ。これは、間一髪のタイミングで私が気づいて「待った!」をかけた。花壇も彫刻も戻ってきます。

編集部:

このようになってしまった要因には、何があると考えますか?

寺本氏:

宝塚の歴史的・文化的資産として、きちんと研鑽してこなかったことが大きいと思います。ホテルは民間の建物とはいえ、行政がもっと真剣に保存利活用を考えるべきだったし、宝塚大橋は県の施設であっても、わが市の宝物です。

宝塚は元々、阪急電鉄の創始者である小林一三が温泉街として開拓したことから始まりました。沿線に住宅地、遊園地をつくり、歌劇団や映画の撮影所で有名になった、他にない成り立ちを持っている町です。

また、手塚治虫が育った町として知られていますが、ほかにも、現代美術の元永定正氏をはじめ世界的なアーティストや文化人が名を連ねています。

一方で、宝塚には美術館も博物館もなく、学芸員もいなかったので貴重な資料の保管がしきれず、先人たちの偉業が市民の目に触れる機会はほとんどありませんでした。

編集部:

ではこれから、宝塚をどのようにしていきたいですか?

寺本氏:

来年は市制70周年。「宝塚らしさ」を形成する街並みや文化的資産を守り、内外に魅力を発信していくことで、まちへの誇りと愛着、いわゆるシビックプライドの醸成とにぎわいづくりにつなげていきたいです。

2020年4月に文化芸術センターがオープンして、アーティストたちが交流し、子どもたちが日常的にアートに親しめる環境が実現しました。

ウィルキンソンタンサンの発祥地も宝塚。西谷の自然・農などと共に新たな観光コンテンツとして発信していくチャンスととらえています。

また、自分たちのアイデンティティとしての歴史文化を次世代に繋いでいきたいという想いも、強く持っています。

無所属だから媚びずにまっすぐ。身近な課題から社会問題まで取り組んでいきたい

編集部:

20年に渡って市議会議員として活動してきて、特に気になっていることは何かありますか?

寺本氏:

最近は、自治体議会が国政の党勢拡大合戦に巻き込まれているように感じます。

長と、住民代表である議員で構成される議会が、対等の立場で善政を競うというのが、地方自治制度ですよね。

市長は1人。あまり知られていませんが、他市に住んでいてもなれるんです。これに対し、市議会とは、宝塚市なら26人の住民代表がそれぞれ地域や世代、職種等の人々の思いを受けて、熟議し、合意形成を図りながら政策を実現していくチームと考えられます。

ところが、政党に所属していると「党の決定」どおりに動くことになってしまう。
政党会派によって国政の対立構図が持ち込まれ、市長選や市議選は党の陣取りゲーム化。党派を超えたつながりを大切にして、民主的な運営が行われてきた宝塚市議会のよき伝統をどう守っていけるのか。5期目の議員としては悩むところです。

編集部:
ご自身は初出馬から一貫して無所属で活動されていますが、それはなぜでしょう。

寺本氏
市議会議員は、住民の暮らしをよくし、わがまちの将来のための政策を考えるのが仕事ですから、政党をバックにつける必要はないはずです。

党の公認や推薦を受ければ選挙資金も看板も、人も提供されるのに比べ、無所属の選挙は圧倒的に不利。それでも私はどこからの指示も制約も受けず、市長にも自由な立場で発言したいんです。もう絶滅危惧種ですよ(笑)

香害、ペット防災、文化行政、図書館など取組み中の課題がいくつもあります。財政や医療・福祉、教育、交通等はもちろん、ときの社会問題にも斬り込む。培ってきた経験と人脈を活かして、まち興しと世直しを(笑)まっすぐに進めていきたいです。

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