スポーツで持続可能な街づくり

3月に開催された2023ワールドベースボールクラシックは、日本チームの活躍もあり、大変な盛り上がりを見せました。日本の野球を盛り上げるために、世界大会で勝つ――栗山英樹監督はそう語っていましたが、ついに14年ぶりに世界一になりました。

もちろん、野球の盛り上がりには選手の活躍が欠かせませんが、競技場が地域と一体となり“ボールパーク”化することでスポーツを盛り上げ、地域も活性化させようという取り組みがあります。一般的に、「球場」というと、野球を観戦するためのスタジアムを指しますが、1992年、アメリカのボルチモアに一つのボールパークが誕生します。それが、築90年の倉庫を球場の一部として残し、倉庫内に球団オフィスやギフトショップ、カフェ、スポーツバーなどを入れ、試合がない日も一般に開放することで観光スポット化させた『オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ』です。これにより、観客は前年比プラス100万人を達成し、この成功を受けて、米プロ野球リーグ(MLB)では次々とボールパークが誕生しました。

日本初のボールパークは、2009年に広島に生まれた『MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島』です。子どもから高齢者まで楽しめるように、バーベキューをしながら観戦できるテラス席や寝そべって見ることのできるシートもあります。また、物産展や新車発表会なども開催し、市民のコミュニティの拠点となりました。

2023年3月には、北海道北広島市に『北海道ボールパークFビレッジ』が誕生しました。そのコンセプトは、野球の試合を観戦するためだけの施設ではなく、ファン、パートナー、地域と一緒に地域社会の活性化や社会への貢献につながる“共同創造空間”をめざす、としています。また、このプロジェクトに賛同する企業などとの様々なパートナーシップによる持続可能な街づくりをめざしています。持続可能な開発目標(SDGs)にも賛同し、多様性を尊重した雇用の創出、柔軟な働き方の実践、効率的なエネルギーの活用等、様々な取り組みを模索しています。

このような、地域を巻き込んだスポーツによる持続可能な街づくり――。そこに積極的に関わる企業も、ステークホルダーとの良好な関係構築を含め、社会のサステナビリティにコミットすることで、企業価値と競争力を高めていると評価できます。

                                           リサーチチーム

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