問われる奈良県連会長責任、県議会議席も6減

 自民党奈良県連会長の高市早苗経済安全保障担当大臣が11日の記者会見で、奈良知事選結果を巡り、自らが総務大臣だった際に秘書官だった奈良県連推薦候補が保守分裂選挙で日本維新の会公認候補に敗れたことに触れ「党本部が県連推薦以外の人を応援したのではないかという疑問の声があがっている。検証が大切だ」などと自身の調整不足を党本部の責任に転化するような発言をした。党内に波紋を広げそう。

 奈良知事選では県連推薦の元総務官僚で無所属新人の平木省氏(48)が昨年12月に出馬表明、翌1月に無所属現職で5選を目指し荒井正吾氏(78)が出馬表明した。これに日本維新の会の前生駒市長・山下真氏(54)が加わり、事実上の三つ巴選挙となり、保守分裂の漁夫の利で山下氏が初当選を果たし、大阪以外の都道府県首長で初の維新の首長誕生になった。

 山下氏の得票数は26万6404票、平木氏の得票数は19万6729票、荒井氏は9万7033票。平木氏と荒井氏の得票数を合わせると29万3762票となり、保守一本化が図れていれば山下氏の得票数を2万7358票上回っており、僅差で維新に首長ポストを明け渡すことは防げた可能性が高い。

 ただ、地元調整の役割は地元県連会長が責任を負うべきもので、荒井氏との調整前に平木氏が出馬表明し、県連内部でも異論があった中、県連会長一任を高市氏が取り付けて強引に平木氏を県連推薦にしたとされる経緯がある。

ネット上では「この人って全く責任取らないよね」との批判の声も上がっているが、奈良県議会議員選挙でも自民は6議席減らし17議席になった。その責任についても「重大」との声がある。党本部よりも、県連会長の責任が問われている。(編集担当:森高龍二)

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