日本で加熱するエキゾチックアニマルカフェ 種の保全、感染症、動物福祉のリスクは

エキゾチックアニマルカフェ(以下、EAC)は、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスターなど家畜化された一般的な動物とは異なるさまざまな「エキゾチックアニマル」を見たり、触れたりして楽しみながら飲食ができる施設を指す。先行研究では、日本はアジア諸国の中でも最もEACの数が多いとされた報告がある。しかし、日本のEACで扱われる動物種の多様性、保全状況、取引規制や、EACが生物多様性保全、公衆衛生、動物福祉に及ぼす影響についての調査はこれまで行われたことがなかった。

京都大学(当時)の研究者らと環境保全専門家のチームは、オンライン調査(キーワード検索によるEACのウェブサイトとソーシャルメディアサイトの特定)を通じて、2019年時点で日本全国に139店舗のEACが営業中であることを確認した。場所は北海道から沖縄にわたり、取り扱い動物は合計で419種、3,793個体にのぼった。研究チームは、これらの動物のIUCNレッドリスト評価、ワシントン条約規制、日本の環境省による特定外来生物指定の有無などを記録した結果、全体のうち12%の動物が絶滅のおそれのある種であるとした。

日本のEACで取り扱われる動物のうち最も多かった分類群は鳥類で62%、中でもフクロウが40%を占めた。爬虫類(21%)、哺乳類(15%)がこれにつづき、両生類(2%)も少数含まれていた。ワシントン条約規制対象種や特定外来生物に指定される種も含まれていたほか、国際取引が禁止されている近絶滅種のパンケーキリクガメや、絶滅危惧種のスンダスローロリスも取り扱いが確認されており、日本へ違法に持ち込まれた可能性も否定できないとする。

総じて、EACビジネスに対する日本の規制の緩さから、生物多様性へのリスク、感染症リスク、違法取引が介在する可能性や動物福祉の問題といった懸念が浮かび上がっており、関連規制強化の検討も望まれるとしている。

論文情報:

【Conservation Science and Practice】Exotic animal cafés in Japan: A new fashion with potential implications for biodiversity, global health, and animal welfare

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