統一地方選挙で無所属候補に注目すべき理由は?地方議員が見ているのは「票」より「人」(オフィス・シュンキ)

統一地方選挙「前半戦」で、党派別の得票数最多は自由民主党(約227万票)でしたが、その次はどの党派でしょうか?答えは、政党に所属しない「無所属」(約117万票)でした。総務省によると、後半にあたる地方議会の議員選挙でも、無所属候補が多くなるのが一般的傾向といいます。本コラムでは、「地方議員選挙に無所属で立候補するってどういうことなんだろう」と考えてみます。

都道府県議会、政令指定都市議会では「政党」所属・推薦獲得が近道

第20回となる今回の統一地方選挙。一括りに「統一」と名付けられていますが、前半(投開票4月9日)と後半(投開票4月23日)では、実は性格の異なった選挙を候補者は戦うことになっています。

前半の議員選挙は「都道府県議会」や「政令指定都市議会」、後半の議員選挙は「市区町村議会」が中心となっており、大きく分けると前半が当選に必要な票数が多くなる選挙後半がそれ以外、ということになります。

前半なのですが、総務省と公益財団法人「明るい選挙推進協会」が共同で行った「第19回統一地方選挙全国世論調査」(以下、調査)によると、この20年間で大きな有権者の意識変化があったことがうかがえます。

すなわち2003年の第15回の際には、「候補者個人を重く見て」が68.6%あったのですが、2019年の第19回では33.4%まで低下しています。逆に「政党を重く見て」は2003年が19.6%だったのが、2019年には40.6%まで上昇しています。この調査では2015年の第18回に顕著になった傾向が2019年にも継続されており、今回の選挙も同様の傾向が続くものと推測されます。

一つの例として私が実体験で挙げられるのが、2015年の「京都府議会議員選挙」です。

この選挙で私も含む当選した60名の中で、国政政党の所属・推薦・支持のない「完全無所属」の者は一人もいませんでした。57名が国政政党の公認候補、3人が推薦・支持候補という内訳だったのです。地域政党の候補もいましたが当選はなく、なんらかの形で国政政党にかかわっていなければ当選は難しいことがはっきりと表れた選挙だった、というのが「党公認」を前面に打ち出し闘った当時の私の実感でした。政令指定都市の議員選挙でもここまででないものの、同様の傾向が指摘されています。

この実態から、前半の議員選挙に関しては、「完全無所属」で戦って当選することは、かなり難易度が高いものであることが分かります。個人がその地域で活動しているかどうか、よりも「政党」で有権者が判断する流れに大きく傾いているのです。「完全無所属」は特定の政党の色を嫌う無党派層を取り込みやすいのがメリットなのですが、「前半戦」では、この恩恵が20年前に比べ格段に小さなものになっているのが推測されます。

つまり、「統一地方選挙」前半戦に関して無所属で勝つためには、政策・主張などを十分検討した上で推薦・支持の形など「政党」(特に、『国政政党』)となんらかの関わりを持つことが近道といえます。ただし、迎えた選挙の際、関係している「政党」が所属議員の不祥事などで支持率が低迷したりしている場合、自身が無関係にもかかわらず、その逆風を同じように受けてしまうデメリットも考慮しておく必要はあります。

「市区町村議員選挙」では、「完全無所属」でも勝機あり

後半戦の「市区町村議員選挙」になると、前半の、いわゆる「政党」選挙とは異なった闘いが多く見られるようになります。

まずは、「議員定数」です。「首長選挙」のような一人を選ぶ選挙でなく、複数が定数、が基本となりますから、前回の投票数や有権者数などから当該選挙の投票総数が推測できます。それを、議員定数で割れば、自分に対していくらぐらいの投票があれば、当選できるか、の目安が立てられます。そこから、その地域にあった戦略を考えていけばいいのです。

前半戦のように、政党のことを大きく考えずにやれますから、当選の目安を立てた票=投票者数=、を得るためにどうしていけばいいか。まずは、「票」でなく、「人」と考えるのも大切です。自分に投票してもらう目標を考えるのですが、それは票ではなく、「生きている人」です。

当該の市区町村の中でも、自分が地盤としている地域で自治会・町内会・消防団(これらは可能であれば所属して、実際に活動するのも有効です)などに、顔を出し覚えていただく。その際、その地域での課題。たとえば、学校給食・中高大の学校の教育費・商店街の活性化など、自らが実現を目指す政策を、機をみて話していくのも大切なことです。まずは足元から、の考えで、自分の移住地や地盤とする地域で、時間の許す限り自らの顔をみせる活動を続ける、のが有効だと思われます。よくいわれる「駅立ち」なども多くはここに入ります。

投票率が上がれば、勝てる、といういわゆる「無党派層」「支持なし有権者」をターゲットとした発言も聞きますが、これは「幻想」と考えるべきです。確かな根拠は存在しませんし、ひとりの力で「投票率」が爆発的に伸びる、というのは、元々、知名度がある候補者などをのぞいて期待できません。人=相手の顔、がみえないことに期待するのはやめ、顔の見える人のいるところで活動を続けるのが有効な選択であるのではないでしょうか?

ちなみに、前出のによると、道府県議会選挙で「投票した」と回答した人のうち、現在住んでいる市町村での居住年数が長い人ほど、投票参加率が高い、という傾向も出ています。

当選するために大切なことは結局2つ

結局のところ、選挙で当選するために大切なことは2つです。ひとつは、自分を応援してくれる人を増やすこと、もうひとつは、その人たちに確実に投票に行ってもらう、ということです。

私が「京都府議会議員選」に立候補を決めた際、地域で有名だったある政治家の方に「親族以外の、まったくつながりがない方で、『あなたのためなら、とことん一緒に闘います、考えます』という地域の有権者を3人、つかまえなさい。そして、その方たちと、やると決めたら、あなたも、とことん彼らのために考えなさい」と、アドバイスを頂きました。私は、曲がりなりにもそれを、自分の選挙・政治活動で実行してみました。当選への近道は、そんなところにもあるかもしれません。

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