犯罪被害者遺族の岩城順子さんが講演 5月14日に会場とオンラインで 山口被害者支援センターが主催

 山口被害者支援センターによる公開講座「犯罪被害に遭うということ」が、5月14日(日)午後1時半から3時まで、KDDI維新ホール(山口市小郡令和1)で開かれる。講師を務めるのは、岩城順子(よりこ)さんだ。

 1996年3月24日夜、当時宮崎県内の大学に通っていた岩城さんの息子、道暁(みちあき)さんは、全く面識のない20歳の男から「目が合った」等と因縁をつけられ、いきなり顔面を殴打されて意識を失った。受診時に外傷はほとんどなく、CTスキャンでも異常がなかったため、医師は警察に「全治2週間」の診断書を提出。しかし意識が戻った時、殴られた時の記憶は消えており、しゃべることや食べること、物をつかんだりすることが以前のようにはできなくなっていた。脳幹部に損傷を受けた道暁さんの容態は、それから少しずつ悪くなっていき、事件から3年後、23歳の誕生日を目前に亡くなってしまった。

 事件時に目撃者はおらず、警察、医師、行政、近所の人、そして当事者までもが、最初は(お互い様というニュアンスもある)けんかだと思っていた。講演では、犯罪被害に遭った後の病院や介護等で直面したこと、「交通事故が原因」だと嘘をつかざるを得なかったこと、屈辱的だった刑事裁判と民事裁判の結果、大学に入り直して学んだ理由、支えになってくれた人たち等について話される。

 会場での聴講は先着100人。さらに、テレビ会議システム「Zoom」を使ってのオンライン聴講も可能だ。どちらも、事前申し込みが必要。

 犯罪や交通事故の被害者やその家族は、幸せで平穏な日々からある日突然、日常生活や将来の夢などを奪われることになる。犯罪そのものによる直接的な被害に加え、精神的被害や経済的負担など、さまざまな困難に直面することにも。この講演会は、被害者らの置かれている状況や、平穏な暮らしへの配慮の重要性などを、一人一人に深く理解してもらうことを目的に開催される。

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