逗子斜面崩落事故巡る損害賠償訴訟 横浜地裁で第1回口頭弁論 神奈川県側は請求棄却求め争う姿勢

口頭弁論終了後、「裁判で真実を明らかにしてほしい」と語った女子生徒の父親=横浜市中区

 逗子市池子で2020年2月、マンション敷地斜面が崩落し、県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が死亡した事故で、県が適切な調査をせず危険な斜面を放置したなどとして、生徒の遺族が県に対し損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、横浜地裁(波多江真史裁判長)であった。県側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。

 訴状などによると、事故直後の国の専門家の調査で、現場斜面で風化が進んでいたことや、風化防止の作用が不十分だったことなどが指摘された。遺族側は、県が事故直前の19年11月と20年1月に2回、現場を災害リスクの高い特別警戒区域に指定するか調査した際、そうした崩落の危険を探知せず、法が求める水準の調査を怠ったと指摘。また、県は事故前日に斜面の異常を把握したマンション管理会社側から「見てもらいたいものがある」などと連絡を受けたが、現場を確認せず、適切な対応を取らなかったなどと訴えている。

 県側は答弁書で「国の調査や判断は、崩落後の状態を見た事後的なものにすぎず、県の調査時点では地表の状態は把握できても、風化の進行は把握できなかった」「国の指針に基づく調査で、危険箇所を探知する義務はない」などと主張。県の担当者は「県には過失がないとの認識。県の立場を適切に主張していく」とコメントした。

© 株式会社神奈川新聞社