全日本スキー技術選手権 渡邊渚(妙高市)初V 幼少から基礎を磨き アルペンと〝二刀流〟

 3月に長野・八方尾根スキー場で行われた第60回全日本スキー技術選手権大会で、妙高市関山の渡邊渚選手(22)が女子の初優勝に輝いた。13種目中8種目を制して逆転、昨年に続く2度目の参戦でスキー技術を争う国内大会の頂点に立った。

全日本技術選優勝の賞状を持つ渡邊選手(妙高市関山の自宅で)

 滋賀県高島市で育ち、小学3年から冬場は妙高高原で過ごし、スキーに打ち込んだ。6年生で妙高市関山に転居し、妙高中、新井高でアルペンスキーを競技。全国中学大会(全中)で最高3位、全国高校大会(インターハイ)で同2位に輝いた。
 高校卒業後、高田自衛隊スキー部に入り、アルペンスキーと並行し、昨シーズンから基礎スキーにも挑戦。小さい頃に身に付けた基本技術を土台に、昨年の全日本技術選手権で7位入賞と新人賞を獲得した。
 今年は予選で転倒し、順位を落としたが、決勝、スーパーファイナルと高得点を重ねトップに。3人で争う最後のウイニングマッチを経て、2位に14点差をつけ初優勝した。「あまり実感はなかったが、率直にうれしかった」と笑顔を見せる。

初優勝した渡邊渚選手(中央)。左は2位の神谷来美選手、右は3位の春原優衣選手
全日本スキー技術選手権の大回り種目に挑む渡邊選手(妙高リージョンスポーツクラブ提供)

 アルペンと基礎スキーの〝二刀流〟を続ける。アルペンの国際スキー連盟(FIS)大会や全日本選手権などに参戦し、幼少期から培ったスピードを磨く。技術選手権ではアルペンの経験を生かし、整地の小回りターンを得意とする。今季は苦手としていた不整地のこぶ斜面の練習にも力を入れてきたという。
 3月末で高田自衛隊スキー部を退き、5月から、スキーを通じ知り合った栃木県那須高原の農家で働き、冬場はスキーに専念する。将来的には「滋賀から移住してお世話になった妙高地域の地元の選手育成に携わっていきたい」と考えている。
 今後も二刀流の挑戦を崩さない。アルペンでまだ果たしていないという国内大会での優勝と、全日本技術選2連覇を目標に掲げる。「優勝して基礎スキーだけをやる選択肢はあるけど、アルペンスキーもやりたい。偏らずに両方をやっていければ」と話す。スピードと技術を追求することで、両方で相乗効果を発揮していく。
 上越勢は男子で佐藤栄一選手、女子で青木美和選手が共に4位に入った。
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 ◇全日本スキー技術選手権大会 スキーの総合技術を競う大会。アルペン競技のようにタイムのみを競うのではなく、設定された斜面に対しターン技術や、スキー板の性能を引き出すかなどを審査される。大回り、小回り、フリーの各種目を整地、不整地(こぶ)などで実施する。SAJ(全日本スキー連盟)バッジテスト1級以上が出場できる。

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