【19日に延期】スペースX、早ければ4月17日にも「スターシップ」初の宇宙飛行を実施へ

スペースXは日本時間4月15日、同社が開発中の再利用型宇宙船「スターシップ(Starship)」と再利用型ブースター「スーパーヘビー(Super Heavy)」による初の飛行試験を4月17日に実施する予定であると発表しました。打ち上げ時間帯は日本時間2023年4月17日21時(米国中部夏時間同日7時)から150分間です(※天候や技術的な理由で変更される可能性があります)。

【更新:2023年4月17日10時23分】打ち上げ予定時刻が1時間ずれ込み、現時点では日本時間2023年4月17日22時(米国中部夏時間同日8時)を目標に準備が進められています。

【更新:2023年4月17日22時25分】本日の打ち上げは中止されました。スペースXのイーロン・マスクCEOによるとバルブに問題が生じた模様です。地上設備側のタンクに推進剤を再充填する必要があるため、次の打ち上げ予定時刻は最短で48時間後(4月19日)となります。

【▲ スターベースの射点でブースター「スーパーヘビー」に搭載された宇宙船「スターシップ」(Credit: SpaceX)】

機体全体の再利用が可能なスターシップは、スーパーヘビーと組み合わせることで旅客輸送用のクルー型なら100名を、貨物輸送用のカーゴ型なら100トンのペイロード(人工衛星や貨物などの搭載物)を地球低軌道に打ち上げる能力を備えているとされており、タンカー仕様のスターシップから推進剤の補給を受けることで月や火星などへ飛行することも想定されています。スターシップは全長50m・直径9m、スーパーヘビーは全長70m・直径9mで、両機を結合した時の全長は120mとなり、アポロ計画で使われた月ロケット「サターンV」の全長110.6mを上回る大きさです。

これまでにスペースXは無人のスターシップ単体での高高度飛行試験を5回実施しています。2021年5月に実施されたスターシップ「SN15」による飛行試験では機体を喪失することなく無事着陸に成功しました。また、2023年2月にはスーパーヘビーのスタティック・ファイア・テスト(射点でのエンジン点火試験)が実施されており、全33基のエンジンのうち、スターシップを軌道へ到達させるのに十分な推力が得られる31基の点火に成功しています。

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【▲ スターベースの射点でブースター「スーパーヘビー」に搭載された宇宙船「スターシップ」(Credit: SpaceX)】

今回実施される飛行試験は、スーパーヘビーの初飛行であり、スターシップ初の宇宙飛行となります。スペースXによると、米国テキサス州ボカチカの同社施設「スターベース」から打ち上げられたスターシップは、スーパーヘビーからの分離後に自らのエンジンを点火して予定された飛行経路に乗ります。地球を4分の3周ほどした後に大気圏へ再突入したスターシップは、発射から約90分後にハワイ諸島沖合の太平洋上へ着水します。

いっぽう、スターシップを分離したスーパーヘビーは同社の「ファルコン9」ロケット第1段と同様にブーストバック噴射を行ってUターンし、発射から約8分後にメキシコ湾の海上へ着水します。機体を再利用するためにスターシップは地上へ着陸、スーパーヘビーは発射施設を兼ねる地上のタワー(高さ146m)でキャッチすることが想定されていますが、この構成での初飛行となる今回は着陸とキャッチは試みられないということです。

スペースXのCEOイーロン・マスク氏も15日朝、同社アカウントのツイートを引用する形で「Success maybe, excitement guaranteed!(成功するかもしれない、興奮すること間違いなし!)」とツイートしています。マスク氏が掲げる火星入植での使用や、アメリカ航空宇宙局(NASA)の有人月面探査計画「アルテミス」の月着陸船としても採用されているスターシップ初の宇宙飛行、その結果が注目されます。

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  • Image Credit: SpaceX
  • SpaceX \- Starship Flight Test

文/sorae編集部

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