澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。
全米一熱いの野球場
MLB屈指の名門、セントルイス・カージナルス。ヤンキースに次ぐ、11回のワールドシリーズ優勝を誇ります。昨シーズン限りで引退した２人のレジェンド、アルバート・プホルスさんとヤディアー・モリーナさんの意志を継ぐ、スタープレーヤーたち。そして、新時代を託されたラーズ・ヌートバー選手も所属します。WBC日本代表のリードオフマン・若き侍の躍動から目が離せません。
全米一の野球都市と言われるだけあって、ファンの皆さんはとても情熱的。野球を愛し、カージナルスを全力で応援する、一体感の中に飛び込みましょう。
[真っ赤に染まるスタジアム](
ブッシュ・スタジアムへ
アメリカ中西部ミズーリ州にあるセントルイス。ランバート国際空港から電車に乗って、約30分で街の中心部へ。レンガ作りの趣ある野球場は「スタジアム駅」のすぐ目の前です。球場から10分ほど歩くと、街の象徴「ゲートウェイ・アーチ」があります。高さ192mの頂上は展望室で、アメリカを縦断するミシシッピ川の流れやブッシュ・スタジアムの絶景が楽しめます。
球団の野球殿堂博物館の裏手には、ワールドチャンピオンズトロフィーの大きなモニュメント。球場へと続く、長い列に並ぶ、熱いファンに出迎えられたら… Busch Stadium III! Nice to meet you!!!
ヌーーーーーーーート
「Lars Nootbaar！」とスタメン紹介や打席入りでその名をコールされると、スタジアムは「ヌーイング」と呼ばれる大歓声に包まれます。
フルネームは、ラーズ・テイラー＝タツジ・ヌートバー。母の久美子さんが日本人であることから、侍ジャパン入りを果たし、幼い頃からの夢を叶えました。お祖父様の名前に由来する「榎田達治」の日本名から「たっちゃん」の愛称で親しまれ、全力でグラウンドを駆け回る姿、満面の笑み、ペッパーミル（胡椒挽き）パフォーマンスで、日本での人気も急上昇中です。
[みんな一緒に「ヌーーーーート！」](
全米一熱いファン
老若男女、幅広い世代が訪れるブッシュ・スタジアム。球場のキャパシティーは４万4000人ほどながら、昨季の観客動員数はドジャースに次ぐ２番目の332万551人（１試合平均４万994人）でした。
彼らの心に再び火をつけたのが、MLBにおける最高の打者の一人、アルバート・プホルスさんです。11年ぶりにセントルイスへ戻り、昨季限りでの引退を表明。最後の花道を飾ってもらおうと、チームとファンが心一つに。期待に応えたプホルスさんは、バリー・ボンズさん（762本）、ハンク・アーロンさん（755本）、ベーブ・ルースさん（714本）に続く、メジャー史上４人目の快挙『通算703本塁打』を達成し、カージナルスを地区優勝に導きました。
Ballparkの楽しみ方
1892年に誕生した伝統球団は、1900年から「カージナルス」と呼ばれるようになりました。当時から朱色のユニフォームを着ていたことや、州の鳥が「ショウジョウコウカンチョウ（学名：カーディナル）」という赤い鳥であったことが由来と言われています。試合前にキャラクターと触れ合える、ファン参加型の始球式も人気のイベントです。
３代目となるブッシュ・スタジアムは、セントルイスに本社を構える全米屈指のビール会社「バドワイザー社」の創業家が建設。2018年に新設されたバドワイザーテラスで頂く、オリジナルの「BBQベーコンバーガー」は、バドワイザーが作ったチーズやバーベキューソースに、ダブルパテ、ベーコン、レタス、トマト、玉ねぎ、ニンニクアイオリが入った、満足感の高い一品です！
そこに… キンキンに冷えたバドワイザーをグビっと！ 青空広がる野球場で、ハンバーガーとビールに乾杯。最高です！
[ビールでニコニコ、ペッパーミル](
カージナルスのWorld Baseball Classicメンバーたち
日本が順調に勝ち進めば、マイアミでの準決勝で対戦することになるアメリカ代表。カージナルスからは、MLB最多の４人が選出されています。アダム・ウェインライト投手（今季限りで引退）、マイルズ・マイコラス投手（巨人でもプレー）、ノーラン・アレナド選手（10年連続ゴールドグラブ賞・MLB最高の三塁手）、ポール・ゴールドシュミット選手（昨季ナ・リーグMVPで、2017年WBC優勝メンバー）と、スター選手ばかりです。
さらに、プエルトリコ代表監督を務めるのは、MLB現役最高の捕手と言われる中、昨季引退したヤディアー・モリーナさんです。
世界最高峰の戦いに魅せられたいところですが、今回ばかりは負けられません。若き侍、ヌートバー選手に「ヌーーーーー！」と声援を送りましょう！
[子どもたちにも大人気の「ヤディ」 顎をさわさわ](
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福田太郎（ふくだ・たろう）／ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年２月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真：福田太郎
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