驚異の現役感!エリック・クラプトンはなぜ日本武道館で100回も公演ができるのか?  スペシャルな来日公演「ERIC CLAPTON LIVE AT BUDOKAN2023」

エリック・クラプトン100回目の武道館公演

78歳になったばかりのエリック・クラプトンが、2023年4月に4年ぶりの来日公演を敢行、武道館にて計6回の公演を行う。4月21日の公演で、1974年以来およそ50年かけて、なんと通算100回目の武道館公演となることが大きな話題を呼んでいる。50年で100回…。

単純に毎年2回公演してようやく達成できるという計算なわけで…、これってよくよく考えてみれば、途轍もない数字ではないだろうか。日本に住んでいるのではとまことしやかに囁かれていたベンチャーズの来日公演数や、30年強かけて外国人アーティストによる最多東京ドーム公演数を塗り替えているボン・ジョヴィ等を、(人気期間の長さという意味でも)はるかに凌ぐ大記録を打ち立てたエリック・クラプトン。日本における長く大きな広い層への人気っぷりは、もはや他の追随を許さない様相を呈してきているようだ。

日本におけるクラプトンの突出した人気の秘密

さてこのような日本におけるクラプトンの突出した人気は、いったいどこからきているのだろうか。

1960年代からおおよそ90年代にかけての長きにわたって、世界を席巻するエポックメイキングな作品を出し続けているクラプトン。スティーヴィー・ワンダー、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニーといった世界のヒットチャートをコンスタントに賑わせ、今でも現役な伝説的アーティストたちと遜色なく匹敵するようなものだが、それこそが人気の根幹にあるのは間違いない。

クラプトンの場合、そこにロックンロールからブリティッシュ・ヘヴィ・ロックへと変化・進化する過程において、時代毎に一般層へと深く浸透・訴求するような作品をクリエイトし続けながら、70年代以降の実にコンスタントな来日の積み重ねが可能になっていったのが、大きなポイントだったと言えよう。

幅広い世代に愛されるブリティッシュ・ロックのパイオニア

60代後半以上ならば、数々の伝説的グループを渡り歩きながらギター小僧の心をがっちりと掴んだ1960年代… 代表的ヒットはクリーム「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」、「ホワイト・ルーム」等。アラカン世代ならば、ロック成熟期のレイドバックなクラプトン節を確立した1970年代、代表的ヒット曲はデレク&ドミノス「いとしのレイラ」、そして「アイ・ショット・ザ・シェリフ」、「ワンダフル・トゥナイト」等。

アラフィフ世代ならば、エレ・ポップ全盛期に独自のロック道を貫いた1980年代、代表的ヒットは「コカイン」「アイヴ・ガット・ア・ロックンロール・ハート」「フォーエヴァー・マン」等。

アラフォー世代ならば、若きUKロック台頭時に余裕の名曲をクリエイトした1990年代、代表的ヒットは「ティアーズ・イン・ヘヴン」、「レイラ」(MTVアンプラグド・バージョン)、「チェンジ・ザ・ワールド」等。

さらにアラサー世代以下となると、親から(場合によっては親の親)伝承されてというのが意外に無視できない影響力を発揮しているだろうし、ビートルズの時代からブリティッシュ・ロックのパイオニア的存在で、ここまで長きにわたってコンスタントにヒットを残した(そしてコンスタントに来日している)唯一のアーティストという認識になるのだろうか。

いわばロックの教科書みたいなものとして、クラプトンに接しているのかもしれない。そして名盤『スロウハンド』から生まれた、アメリカでは中ヒットだった「ワンダフル・トゥナイト」(1978年)が、日本においては案外最も世代を超え長く静かに浸透した楽曲になっていることは特筆すべきだ。

こうやってクラプトンのヒットを俯瞰してみると、あらためて第一線での活躍の長さは驚異的だし、00年代以降の“現役感”の強さはスティーヴィー・ワンダーやローリング・ストーンズ等と比しても驚嘆すべき高さといっていいだろう。

だからこそ全ての層から根強い支持を常に得ているのが、エリック・クラプトンなのだ。78歳になって、ますますかっこいいなんて! 素敵すぎるよ。

カタリベ: KARL南澤

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