「金太郎バナナ」を新名物に 南足柄の農家が今春初収穫 「無農薬・無化学肥料」で栽培

新たな名産品を目指して金太郎バナナを育てる磯﨑昇治社長=南足柄市苅野、金太郎ファーム

 散策時の栄養補給に「金太郎バナナ」はいかが-。今春、南足柄市苅野の金太郎ファーム(磯﨑昇治社長)で、バナナが初収穫を迎えた。昨年5月に植えた約1メートルの苗140本が今では3メートルほどまで成長、たわわに実ったバナナが今月から出荷されている。磯﨑社長は「大型連休は来街者が増えるチャンス。多くの人に知ってもらい、南足柄の名物にしたい」と意気込んでいる。

 ファームは足柄地域の豊かな自然に囲まれた丘陵地にある。冬には氷で覆われてしまう夕日の滝(同市矢倉沢)も近く、バナナの持つ“熱帯”のイメージとは異なるが、約770平方メートルの温室ハウスを設置して通年で18度以上をキープ。「南北に吹き抜ける風のおかげか、ハウス内が極端な温度にならない。気候的な立地条件もいいのかもしれません」と磯﨑社長は話す。

 無農薬や化学肥料の無使用にこだわってきた磯﨑社長は、先祖から引き継いだ農地を活用するに当たって「持続可能な農業にするために、高付加価値なものを」と新たな作物の栽培を模索。約2年前、岡山県内の農業法人が開発した栽培技術による「温室があれば育つ」バナナに出会った。

 種の段階でマイナス60度の“氷河期”を体験させることで病害虫に強く、定植から収穫まで約9カ月で済む成長の早さが特長。さらに、遺伝子組み換えではなく、植物の能力を引き出した種から育った苗を「無農薬・無化学肥料」で育てることで、外国製の安価なバナナと「食の安全性」において一線を画すという。

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