4年ぶり「お走り」 稚児舞や「陵王」も コロナ禍前の形で 能生白山神社春季大祭

 能生白山神社(糸魚川市能生、佐藤英尊宮司)の春季大祭が24日、同神社で執り行われた。伝統の舞楽奉納などに加え、今年はみこしのお走りを4年ぶりに実施。コロナ禍の影響による規模縮小のない、本来の形での祭りとなり、集まった見物客を魅了した。

舞楽のクライマックスを飾った「陵王」(午後6時35分ごろ)

 地元で「能生まつり」として親しまれている春の一大行事。舞楽は15世紀に大阪・四天王寺から伝承したとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
 この日は好天に恵まれた、絶好の祭り日和。午前中につゆ払いの獅子舞を先頭に3基のみこし、大人の肩に乗った稚児が時間をかけてゆっくりと境内を回り、午後から「お走り」。担ぎ手がみこしを上下に揺らし、駆け出す構えをしては中断する〝じらし〟を何度も繰り返した後、「ヤァー!」という掛け声と共に勢いよく境内を駆け回ると、場内は熱気に包まれた。

4年ぶりに行われたみこしの「お走り」。担ぎ手の男衆が境内を勇壮に駆け回った(午後1時45分ごろ)

 その後の舞楽では、獅子舞を除く11曲を上演した。うち8曲を占める稚児舞が観衆を沸かせた後、クライマックスの「陵王」が日没の時間帯に登場。勇猛な面、朱色の衣をまとって堂々と舞い、ひときわ大きな歓声や拍手を浴びた。

舞楽を奉納する稚児たち(午後3時30分ごろ)

 愛知県から訪れた糸魚川市出身の女性(83)は「特にお走りを楽しみに、見に来た。(同祭りは)本当に久しぶりで、感激した」と笑顔で話した。

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