横浜・ズーラシアで初のクラウドファンディング オットセイ展示場整備へ

ミナミアフリカオットセイと飼育員の五十嵐多鶴子さん=横浜市旭区の「よこはま動物園ズーラシア」

 よこはま動物園ズーラシア(横浜市旭区)では飼育する3頭のミナミアフリカオットセイの展示スペースを整備するため、29日から同園で初めてクラウドファンディング(CF)を始める。年々上昇している気温の変化に対応するため、横3メートル×縦7メートルの日よけを設けたり、浅瀬を陸地化したりする費用に充てる。約2カ月間で2500万円を目指す。

 同園ではハジメ(オス・19歳)、ハッピー(メス・11歳)、ワン(メス・15歳)の人気の3頭が飼われている。展示場には水量約400トンのプールのほか、浅瀬や岩が並ぶなど豊かな自然環境が再現されているが、日陰がほとんどない。

 オットセイはアシカの仲間で、同園によると、アザラシやアシカなどの鰭脚類(ききゃくるい)はもともと眼球が大きく、眼の病気になりやすい特性があるという。夏場は高温となる陸上を嫌ってプールにとどまろうとするが、水温が上がり水質が悪化、眼の疾患になりやすい環境だったという。担当の五十嵐多鶴子さん(45)は「開けられなくなるほど眼が真っ赤に腫れ上がり、餌も食べないことがある」と声を落とす。

 これまで同園では眼球への投薬で対処してきたほか、手製の日よけで日陰をつくるなどしてきたが、近年の著しい気温の上昇を前に、限界を迎えていた。

 大人気のホッキョクグマの展示場には2016年夏に立派な日よけを設置したが、予算には限りがある。「小さな動物園ではすぐに対応することが難しい。なんとかしてあげたい」と五十嵐さん。愛嬌たっぷりに子どもたちを出迎えるオットセイの環境を少しでも整えるため、温かい支援を呼びかけていた。

 CFは6月30日まで、郵送とクラファンサイト「レディーフォー」で受け付ける。1口3千円からで、入園チケットやバックヤード見学会などの返礼品もある。問い合わせは同園電話045(959)1000。

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