前埼玉県知事上田清司参院議員は見た!2度の政権交代と自治体経営の裏側 選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2023年5月2日に公開された動画のテーマは……

引き続きゲストに前埼玉県知事で現参議院議員の上田清司さんをお迎えし、ご自身が目撃した2回の政権交代の裏側と、4期16年の埼玉県知事時代の仕事ぶりについてうかがいました。

地方自治の見方が変わる上田氏の話に刮目せよ!

【このトピックのポイント】
・政権交代が生まれるきっかけは「テーマ」と「敵失」
・知事時代の改革のポイントは「データ経営」
・とはいえ、政策を実現・実行するのは「人」

政権交代をもう一度実現するには?

MC鈴木邦和「難しいテーマがいきましたねえ」

上田氏がこれまでの政治家人生で目撃した政権交代は、1993年の細川連立内閣と、2009年の民主党政権の2つでした。

上田氏は、「政権交代が起きる時はわからない」としながら、1993年当時を振り返り、自民党が羽田・小沢グループ、武村グループと割れ、合わせて50人くらい抜けたことを指摘しました。政権与党は280議席前後くらいを握ると安定多数といえますが、そこから50議席減ってしまうと、法案の可決に必要な過半数割れを招きかねません。非自民の連立政権が誕生できるかどうか、ギリギリだったと上田氏は語ります。

その中で連立政権が樹立できたポイントとして、上田氏は少数勢力であった細川氏を総理に掲げた政治力学と、当時、メディアが政治改革を叫び始めた中で、自民党が抵抗勢力となってしまった世論のふたつを指摘します。

上田氏「だから、非自民に風が吹いた」

MC鈴木「この先政権交代が起こるとしたらどういうパターンになるんでしょう?」

上田氏は、「テーマを作りきれるか、それか敵失のどちらか」と明言します。

1993年の連立内閣には「政治改革」という明確なテーマがありました。結果として選挙改革で終わったとしても、テーマが確実にあったことを、上田氏は指摘します。

一方、2009年の民主党政権について上田氏は「(自民党の)敵失、オウンゴール」と述べます。安倍内閣以降次々に辞任する閣僚に、1年ごとに総理大臣も交代する「回転ドア内閣」(上田氏)が有権者の失望を呼んだのだろうと上田氏は語ります。

2012年に自民党が政権を奪還、その後は自民党政権が続いていますが、10年の間での敵失はなかったのでしょうか。

上田氏は、自民党が下野したことに対する研究をしっかり行い、イメージを大事にするようになったことに着目します。ただし、そのイメージは必ずしもよいものではなく、毎年スローガンが変わるようでは思いつきではないか、という厳しい指摘も行います。

上田氏「民主党政権でやられた記憶が(自民党に)残りすぎて。ときどきは政権交代したほうが、お互いフレッシュになるからいいんだと開き直らないとよくないと思います」

MC鈴木「今の上田さんのお話を聞くと、政権交代が起きるのは難しそうな感じがしますね」

上田氏「ずっとごまかしはきかないでしょう」

今、知事に未練はありますか?

そもそも知事になる前、衆議院議員を務めていた上田氏。国会議員に戻った今、知事時代を振り返っていかがでしたか?

上田氏「知事になって、あっという間に変えちゃった(改革できた)ということでは、なかなかよかった」

上田氏の知事としての仕事ぶりは、あらゆるデータにもとづいて政策の方針を定めたことに現れます。

「埼玉県のGDP合計としては全国5位だが、直近のGDP増加額は1位」

「県民所得も16位だが直近の10年は1位」

「知事室にはあらゆるデータをグラフにして貼っていた。はじめは部長以下の時給も貼ってたんだけど、ほかのお客さんが誤解するからやめてくれと言われた(笑)」

EBPMの重要性が指摘されるずっと前からデータに基づいた自治体経営を実践してこられた上田氏は、すべてデータに基づいて政策を作り、データが頭の中に入っていると断言します。

MC鈴木「なかなか数値目標を掲げられないし、掲げても達成できない人が多い中、どうしてできるんですか?」

上田氏は、「役所の職員は『やってます』が得意で、やった結果どうなったかを誰も知らない。データもなく、あったとしても対前年比くらいしか見ていない。10年のトレンドを追いかける人がいない」と指摘します。

10年のグラフや47都道府県の比較表を作ると、職員がみんなびっくりする。知事の理念を説明し、順位を上げる手立てを考えるよう指示をすると、職員が水を得た魚のように動くと上田氏は振り返りました。

一方で、上田氏は「(自分は)頭がよくないもので、急所だけ押さえている」と笑います。その急所とは、「その人たちの今の課題は何なのか、県はどういう関わり方をするのか、県の新しい方針は彼らにインパクトを与えるのか」というきわめてシンプルなもの。

長年赤字が続いていた浦和競馬をはじめとする公営事業も、そうして黒字化していったのだと上田氏は語ります。

MC鈴木「徹底的にデータに基づいてしっかり結果を出していくスタイルは、経営者というか政治の世界にない考え方ですね」

一方で、データに基づいた上田氏の経営手腕は、言い方を間違えるとパワハラと受け取られないかという疑問も生まれます。

しかし、上田氏は「私は愛情が深いもんで」とどこ吹く風。「居酒屋で2000円くらいで飯食った後、カラオケ屋に行ってみんなで歌ったりですね」職員とも人付き合いをしっかりするのが上田流だそうです。

歴史的背景を読み解き、データを活用することで政治の世界をくぐり抜けてきた上田氏のエピソードをぜひご覧ください!

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