大磯で4年ぶり「相模国府祭」開催へ 重要民俗文化財候補「指定、期待大きい」

寒川神社と川匂神社が一之宮の座を争う「座問答」(六所神社提供)

 相模国の大社が一堂に会する祭り「相模国府祭(こうのまち)」が5日、大磯町で4年ぶりに本格開催される。奈良・平安期の祭典を今に伝える長い伝統を持つといわれ、神社同士が一番を競う「座問答」などユニークな神事で知られる。今回は文化庁が国の重要無形民俗文化財指定へ“最終チェック”をするといい、久々の本格開催とともに関係者の心も躍る。

 祭りの一部が開かれる六所神社(同町)によると、現在の祭りの形は平安期、相模国の国司(行政長官)が一度に各大社を参拝できるように国府近くに各大社の御分霊を合わせまつる総社をつくり、各大社に御分霊をのせたみこしで総社に集まるよう依頼したことが起源という。

 国府祭では、相模国一之宮・寒川神社(寒川町)、二之宮・川匂神社(二宮町)、三之宮・比々多(ひびた)神社(伊勢原市)、四之宮・前鳥(さきとり)神社(平塚市)のほか、一国一社として平塚八幡宮(同)のみこしが総社である六所神社に集う。見どころは同神社近くの神揃(かみそろい)山で寒川神社と川匂神社が一之宮の座を巡って争う「座問答」だ。

 祭りは大磯町教育委員会が文化庁や県の協力を得て2016年に調査を開始、20年に400㌻超の報告書が完成した。それを受けて国の重要無形民俗文化財の指定候補に入り、同年の祭りを国が調査して指定に大きく前進する流れだった。だが新型コロナウイルス感染症の流行により、この年から3回連続で祭りが縮小開催されたため、そのままになっていた。

 六所神社の関係者は「やっと通常開催できるし、指定への期待も大きい」とはやる気持ちを抑えられない。同神社では氏子役員らが祭りの運営などを行うが、任期などもあり、通常開催されないと次の役員に祭りが伝わっていかない懸念もあった。

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