宅間孝行 新プロジェクト “タクラボ始動” 舞台「神様お願い」開幕 宗教は人を幸せにするのか、

宅間が仕掛ける未だかつてない演劇実験。
第1弾は禁断の宗教の世界。

タクラボ=タクマ laboratory =宅間 実験室/研究室。
お祭り騒ぎのタクフェスを想像したら大間違い!
宅間孝行が原点に返り小劇場という濃密な研究室にて実験的な物語を。
そんな記念すべき初実験は尖った物語!?ー。

始まる前、アフタートークならぬプレトーク。「普段(タクフェス)では20分前ぐらいから温めるんですけどね」と宅間孝行。若手の紹介、ワークショップで選んだそう。そして、様々な誰かのエピソード、これが、かなりなもので、皆「この国は腐っています」と言い、”始まる”。「知り合いの話はあなたの話」、そして白いドレスを着た若い女性(10代)、暗い表情で「私は2世なの」、いわゆる宗教2世の問題、報道番組で見たことがある方も多いと思う。

信仰の強制や、教義を理由にさまざまな自由を奪う行為が近年、問題視されている。場面変わって、雨に濡れた2人、とあるところにやってくる。風光明媚な富⼠⼭の麓に広がる避暑地。そしてこの2人が辿り着いたところは、”癒しの空間”。ジャージ姿の人が数人現れて2人に言う「心と癒しのプログラムへようこそ!」これもどこかで耳にしたことがあること、セミナーと称して実は宗教の勧誘だったりする。ここは、実は新興宗教「みじんの家」の教団施設。そして段々とその姿が見えてくる。客席から見ると怪しさ満点。奇妙な歌(「微生物のストレッチ」(笑))に奇妙な教え、笑いながらも、ちょっと背筋が凍るようなところも。そこへ教祖様が「オミクロン様!!」、「みじんの家」は神が宿る家、かなり怪しい雰囲気。

この教団に母親が”絡め取られた”男性が「この宗教でおかしくなった」という。2022年7月、安倍首相が銃撃されたのはまだまだ記憶に鮮明。浜谷健司演じるキャラクター、どこか挙動不審。教祖様を演じるのは宅間孝行、ロン毛に白い衣装、いかにも”教祖様”。

信じるも信じないのも、その人の自由であるわけだが、本当に冷静に自分の意思で入信するのか、「マインドコントロール」「洗脳」、ちなみに両方とも、本人の意思に関係なく、個人の意思主張を変えるもの。ただ、「洗脳」は、言葉だけで洗脳状態にならない場合、暴力的手段を用いて恐怖心で心を支配しようとするのに対してマインドコントロールは他者の心理状態を何らかの方法で制御、個人の価値観や思想を特定の意思や目的に誘導すること。これもこの舞台で描かれている。

ゲネプロであるにもかかわらず、ところどころで笑いも起きる。ダジャレもあったり、信者たちの挙動が可笑しかったり。この「みじんの家」にやってきた2人、信者になるのかならないのかは劇場で確認して欲しいが、その末路よりもそこに至る過程、世の中は決して平和ではない。実際にロシアとウクライナの戦争はまだまだ続いているし、貧困の問題、政治の腐敗、ジェンダーの問題、差別も。笑いを交えながらシリアス、問題提起も。深刻な社会問題であるが、そこを暗くならずに、エンターテイメントとして見せる。そして時折、観客を巻き込む手法、客席で”安心”している場合ではないのだ。また、タクフェスを観たことがある観客なら、セットの違いに注目。タクフェスのセットは細かいところまで作り込んであり、そこも楽しみの一つだが、今回の「タクラボ」は抽象的なセット。照明などの変化で状況を見せる。ブルーがかった照明で教祖様が客席に訴えかける場面などは、ちょっと恐ろしく感じる。

宗教は無くならない、もっと巧みな手法で勧誘してくるかもしれないし、それに気がつかないで、のめり込む可能性もある。ラスト近くは怒涛の展開、もちろん、ハッピーエンドとは無縁な内容。ただ、芝居を観終わったあとでふと気付かされる、遠い遠い誰かの話ではなく、実は身近な話、自分の家族におこることかもしれないし、もしかしたら、自分自身の身に降りかかることかもしれない。多くの気付きがある作品。メインキャラクターは”年長”さんが演じていたが、ワークショップを通じて選ばれたキャスト陣、皆、芸達者、将来が楽しみな若手。東京公演は前売チケットがほぼ完売だそう(当日券は出るそう)、大阪公演はまだ大丈夫だそう。公演は東京は14日まで。週明けの火曜、16日より大阪で開幕。

ゲネプロの後は簡単な会見が行われた。登壇したのは、宅間孝行、阿部力 浜谷健司 (ハマカーン)、そして鈴木エイト。鈴木氏は2022年9月26日、初の単著『自民党の統一教会汚染―追跡3000日』を刊行。
宅間孝行は「今回はテーマが、かなり攻めた感じで。お客様がどう反応してくださるのかドキドキでございます」と開口一番。阿部力は「この日が待ち遠しかった」、浜谷健司は「わずかにクスッというところは多分、爆笑だろうなと。いいゲネプロでした」とコメント。客席で観劇していた鈴木エイトは稽古場でも観ていたようで「新人さんの出来が、こんなに変わるのか、という驚きがありました。稽古場でもうるっときたところがあったのですが、今日はさらに。全体的にかなり攻めてるな」と語った。鈴木氏の言葉通り、攻めてるところは必見。「力になってもらって」と宅間孝行は鈴木エイトに謝辞を。「議論を呼ぶ内容で、笑いの要素も入れて、茶化すわけではなく、お芝居の力はすごい、衝撃を受けました」と鈴木エイト。また、この作品を考えたきっかけについて宅間孝行は「新しいこと、今まではそれはそれで楽しんでいた。(小劇場は)距離感が近い、もう一回、芝居にまみれる、色々やることがあって大変でした。こんなに大変だったんだっていうことを思い出しました。小劇場は空気感近いんで身近に感じられる」と語った。また「映画より高い、5500円、何かを提供しなければならない、責任がある」と宅間孝行。阿部力、浜谷健司、宅間孝行との共演は2人とも過去に何度かあるそう。浜谷健司は「気づかなかったことに気付かされる、まだ完全に理解してないなと思い、日々勉強です」といい、阿部力も「毎回、毎回、新しい勉強ができる」とコメント。鈴木エイトは脚本の監修もやったそうで「こういう設定があった方がいいみたいなのは、立場として…上がりが楽しみです」とコメント。そして気が早い質問、第二弾は考えているのか?という問いかけに「決まってます!年明けに」とキッパリと宅間孝行。「東MAXと、早々に」また若手について言及「すごい頑張ってた、その姿に感動」とコメント。またタイトルに引っ掛けて「神様にお願いしたことは?」の問いかけ。宅間孝行は「東京はほぼ完売ですが、大阪は…結構空いてる(苦笑)。神様お願いじゃなくって、皆様にお願い、来週ですが(笑)」また、内容についての質問「あそびみたいなところもありますが、僕らが若いころ、オウムの事件以前は、世間で冷やかされているような存在として…大きなテーマとしては、2世の方たちがこの問題が収束してしまうと置き去りになってしまうのかなと。取り残された2世の人たちがずっと話題の片隅に登ってて、取り残されないことになればいいなと。2世の人たちが傷つくような作りにはしたくない。ちょっと危機感を抱いてくださいと」と語った。
最後にPR。
浜谷健司「宅間さんのもとで一生懸命にいいものを、心揺さぶられる瞬間を」
阿部力「コロナ前と同じように見えるようになった、みんなと芝居ができる普通な幸せなこと、シニカルですが、笑える部分もあり、泣ける部分もあり、考えさせられる舞台、しっかり観て欲しい」
宅間孝行「今回、実験的な作品、ぜひ、体感していただきたい。劇場に来ないと立ち会えない瞬間がたくさんあります」

STORY
富⼠⼭の麓に広がる避暑地にひっそり佇む癒しの空間。そこに誘われてやってくる⼈々と⼿厚く出迎える⼈たち。⼼地よい空間の中で、やってきた⼈たちは癒やされていく。やがて会話は、少⼦化や若者の貧困、政治の腐敗や戦争にも及んでいく。熱く交わされる想いに⼈々は次第に熱に浮かされていく…そう、そこは新興宗教「みじんの家」の教団施設だった!! 宗教とは?悟りとは?洗脳とは?カルトとは?そして⼈間の幸せとは?

タクラボ第⼀弾が切り込むのは禁断の宗教の世界!
TABOO溢れる問題作!?

概要
公演タイトル:舞台「神様お願い」
公演日程・会場:
東京:2023年5月9日(火)〜5月14日(日) 赤坂RED/THEATER
大阪:2023年5月16日(火)〜5月21日(日) ABCホール
作・演出:宅間孝行
出演者
宅間孝行
阿部力 浜谷健司 (ハマカーン) / 宅間孝行
井上新渚 守屋慎之介 東別府夢 鎌田優花 森未来 渡口和志
スタッフ
照明:日高勝彦、山田真輔/ 美術:向井登子/音響:野中明、松木優佳 音楽:コトブキミュージックラボ
舞台監督:仲里良、高橋秀彰 票券:レコチョク/制作:上畑みさと、三村楽 / 製作:タクラボ

公式twitter:@Takuma_new2023(https://twitter.com/Takuma_new2023
公式Instagram: takuma_ laboratory

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