【三師会】医科・歯科・調剤分野における物価・賃金高騰対策に関する合同声明/骨太方針への記載求める

【2023.05.10配信】日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会のいわゆる「三師会」は5月10日、政府に対して医科・歯科・調剤分野における物価・賃金高騰対策に関する合同声明を出した。公定価格により運営する医科歯科医療機関、薬局、介護施設等は、価格に転嫁することができず、 物価高騰と賃上げへの対応には十分な原資が必要であると訴えた。

「公定価格により運営する医科歯科医療機関、薬局、介護施設等は、価格に転嫁することができず、 物価高騰と賃上げへの対応には十分な原資が必要」

合同声明の文書は以下の通り。

■医科・歯科・調剤分野における物価・賃金高騰対策に関する三師会合同声明

令和5年5月10日

政府におかれましては、今般、「第8回物価・賃金・生活総合対策本部」において、物価高騰に対する追加策として、 「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の積み増しをお示し頂き、更に価格高騰への対応に効果的と考えられる推奨事業メニューとして、引き続き「医療・介護・保育施設、学校施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援」を推奨頂きましたことを併せて御礼申し上げます。

現在、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻等による世界的なエネルギー価格の高騰や、それと相まって人件費の上昇をはじめとする急激な価格高騰の状況にあります。 しかしながら、公定価格により運営する医科歯科医療機関、薬局、介護施設等は、価格に転嫁することができず、 物価高騰と賃上げへの対応には十分な原資が必要です。

岸田総理から本年1月4日の年頭記者会見 1月24日に開催されました 「第6回物価・賃金・生活総合対策本部」において、春闘では「インフレ率を超える質上げの実現をお願いしたい」 等のご発言がありました。

全国における医療・介護従事者は、労働力人口 6,900万人の約12%に当たる、約800万人おります。 今般の政府のご方針に沿うためには、喫際に医療・介護従事者の賃上げを実現することが重要です。

一方、多くの介護施設においても、 コロナ禍および物価高騰の影響によって経営上の収支が悪化し、更に元々不足している介護従事者が、比較的賃金の高い他産業へ流出してしまうことが増えており、これらにより施設の維持に支障 困難を来す状況となっております。

診療報酬・介護報酬という公定価格で運営を行っている医科歯科医療機関、薬局、介護施設等においては、昨今の物価高騰も相まって、 岸田総理がご発言された賃上げに対応できない状況となっています。

つきましては、これら医科歯科医療機関、薬局、介護施設等を取り巻く事情をご賢察頂きまして、 医療・介護従事者の賃上げに対応するため、令和5年度における緊急的な措置や、令和6年度のトリプル改定で物価高騰と賃上げへの対応を 「骨太の方針」に記載するなど、政府において何らかの財政措置を強くお願いいたします。

公益社団法人 日本医師会 会長 松本 吉郎
公益社団法人 日本歯科医師会 会長 堀 憲郎
公益社団法人 日本薬剤師会 会長 山本 信夫

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