「宇宙桜」を植樹・披露、宇宙旅した桜の子孫、大火復興願い込め、糸魚川市・美山公園

 宇宙を旅した「山高神代桜」(山梨県北杜市)の種から生まれた桜の直系子孫「宇宙桜(そらさくら)」が、糸魚川市の美山公園内「市民の庭」に植樹された。お披露目式が9日、同所で行われ、糸魚川市駅北大火からの復興へ願いを込めた。

宇宙桜の苗木に水やりをする参加児童(手前)。苗木の周囲にはハート形の植え込みを施している
お披露目式の様子。参加児童がメッセージを伝える場面もあった

 宇宙桜を災害復興のシンボルとして被災地に植樹する「きぼうの桜計画」に取り組む一般財団法人ワンアース(茨城県、長谷川洋一代表理事)から寄贈を受けたもの。
 山高神代桜の種が15年ほど前、同市の宇宙ササユリ「宙(そら)ユリ」と同様にスペースシャトル・エンデバー号で宇宙を旅し、帰還した縁などがあって実現した。
 お披露目式には、「緑の少年団」の活動を行っている市内3小学校(能生小、下早川小、青海小)の児童、防災学習を推進する糸魚川小児童と糸魚川白嶺高生徒を含め総勢約140人が参加。宇宙桜の「宇宙フライト証明書」、宇宙桜の根元に埋める「紲(きずな)石」の贈呈などが行われた。

宇宙フライト証明書と紲(きずな)石が贈呈された。左から米田市長、長谷川代表理事、参加高校生

 米田徹市長は「(宇宙桜は)宇宙ユリ誕生にご尽力された故・小野健博士とも親交の深かった関係者のご協力により、駅北大火からの復興の願いを込め、寄贈いただいた。駅北大火の教訓と記憶の継承、宇宙との関わり、人と人とのご縁を大切にしながら皆さまと一緒に大切に育てて、成長を見守っていきたい」とあいさつ。
 長谷川代表理事は「この希望の桜を糸魚川市の名物、モニュメントにして、桜と共に成長していってほしい。そして全国の多くの(宇宙桜のある地の)仲間たちとの交流のきっかけにしていただければ」と願った。
 山高神代桜は、日本三大桜の一つとして知られる名桜。樹齢2000年で、日本武尊(やまとたけるのみこと)が植えたと伝えられている。長谷川代表理事は「(宇宙桜は)1000年生きていく。31世紀の私たちの子孫も、見ることになると思う」などと未来へ思いをはせた。
 お披露目式後は市民総合体育館(同市上刈4)に移動。長谷川代表理事が「宇宙でつながる人と桜と糸魚川」と題して講演した。

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