日産自動車が増収増益 奨励金抑制などで改善 2023年3月期連結決算

23年3月期決算について説明する内田誠社長(日産自動車提供)

 日産自動車(横浜市西区)が11日発表した2023年3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前期比52.5%増の3771億900万円だった。部品サプライチェーン(供給網)の混乱や車載向け半導体供給不足などの影響で世界販売台数は前期を下回ったものの、為替レートは年間を通して円安で進行。米国販売会社への販売奨励金の抑制などを進め、車両1台当たりの収益が改善したことで増収増益となった。

 売上高は25.8%増の10兆5966億9500万円、純利益は3.0%増の2219億円だった。

 鋼材や樹脂などの原材料高や、物流費高騰によるコスト増が下押し圧力となる一方、値引きの原資となっていた販売奨励金の抑制や、車両価格の改定が奏功した。ウクライナ危機を受け、ロシア市場からの撤退に伴う費用として1105億円を計上したが、年間を通しての円安も収益の増加につながった。

 世界車両販売台数は中国、北米といった主要市場での落ち込みが影響し、14.7%減の330万5千台だった。日本市場では昨年5月に発表した軽自動車規格の電気自動車(EV)「サクラ」の販売販売台数が3万3千台を突破したほか、人気モデルの「ノート」シリーズも好調。6.1%増の45万4千台だった。

© 株式会社神奈川新聞社