横浜・左近山団地にコワーキングスペース  人と人つながる仕掛け、挑戦したいことの実現支援

テープカットでオープンを祝う関係者たち

 横浜市旭区の左近山団地に13日、コワーキングスペース「トリオ左近山」がオープンした。「働く場」にとどまらず、団地でやってみたいことや関心を基に、人と人がつながる仕掛けも用意。地域に関わるきっかけを生み出し、コミュニティーのさらなる活性化を目指す。

 トリオ左近山は、郊外部における「働く場」の効果を検証する区の実証実験の一環で開設。まちづくり関連事業のGOLDILOCKS(東京都)が整備し、運営も担う。都市再生機構(UR)が無償提供する診療所跡地約100平方メートルを改修し、ラウンジや個人ブースなど23席に加え、会議室を備える。月額利用のほか、都度利用もできる。

 同施設が一般的なコワーキングスペースと一線を画すのは、地域のつながりを生み出す仕掛けの提供だ。住民や団地に足を運ぶ市民らが、団地で挑戦したいことをオンライン上で投稿・投票できる仕組みを導入。関心が近い人同士に3人組(トリオ)を結成してもらい、運営側が必要に応じて実現に向けた支援を行う。「トリオ会員」になると利用料金などで特典を受けられるといい、すでに「英会話を勉強したい」「フードフェスがしたい」などの“種”がまかれ始めている。

 開設に向け、中心となって準備を進めたのは左近山団地に住むGOLDILOCKS社員の小山晴也さん(26)。横浜国立大(同市保土ケ谷区)在学時の2017年に、同大や旭区などの連携による地域支援事業の一環で同団地に入居した。大学院進学を機に一度離れたが、地域のつながりに引かれて再び居を構えた。昨年、実証実験の公募を知り、同社の川路武社長に提案。社としての応募にこぎ着けた。

 設計や工事にも同大の卒業生や現役生が関わる。小山さんからオファーを受けた卒業生の鷹野魁斗さん(25)らが「団地のみんなのもう一室」をコンセプトにデザインした。空間を壁棚で区切り、その線をまたぐようにテーブルやいすを配置。鷹野さんは「部屋がずるずるとつながり、人の存在を感じられる空間にした」と狙いを話す。

 トリオ左近山の開設を住民たちも心待ちにしていた。オープニングイベントに駆け付けた左近山連合自治会の林重克会長は住民の高齢化に触れ、「若い人たちが住んでみようと思ったり、つながったりするきっかけになってほしい」と話す。小山さんは「団地を面白く住みこなしたい人、団地にずっと住んでいる人、団地が好きな人。交ざると見たことのない化学反応が起きる。ハブ(拠点)として使ってほしい」と期待を込めた。

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