ボクシング世界ライト級4団体統一王者デビン・ヘイニー、ロマチェンコとのテクニシャン対決を制す

WBA WBC IBF WBOの4団体を統一し、世界ライト級最強の座に君臨するデビン・ヘイニーが、2023年5月20日(米国時間)、アメリカ ラスベガスでウクライナ出身の天才ボクサー ワシル・ロマチェンコの挑戦を退けた。35歳のロマチェンコの敗北は引退論議を呼び起こすだろうし、24歳のヘイニーには逆に ジャーボンテイ・デービスやシャクール・スティーブンソンなどとのスーパーファイトのオファーを飲むか、階級をあげてみるかの選択を迫られるだろう。

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オーソドックススタイルのヘイニー、サウスポーのロマチェンコ

ライト級としてはやや大柄なヘイニーに対して、ロマチェンコはスーパーフェザーまたは むしろフェザー級が最適なのではと言われる体格だ。

ともにテクニシャンであり、ハンドスピードの速さでも定評ある2人だが、ロマチェンコは攻撃型、ヘイニーはどちらかというと防御型のように思われる。

ヘイニーは体重を残しながらジャブを打ち、ロマチェンコはジャブを打ちながら前進し、連打を放つタイプだ。同じく速いジャブを持ちながら、打ち方が異なるのだ。

この試合では、体格に優るヘイニーはやや力を込めたジャブでロマチェンコの接近を阻み、同時に右のフックやアッパーを放つ。リーチの差を埋めたいロマチェンコは思い切って接近して乱戦に持ち込みたいが、ヘイニーは巧みにクリンチを多用してロマチェンコの継続的な連打を断ち切る。

ヘイニーのパワーがロマチェンコの技術を抑え切った?

試合としては、多少の一進一退はあっても、ほぼ同じような展開で、近づきたいロマチェンコが飛び込んでくれば、ヘイニーは軽い連打を受けながらもクリンチで止める。離れればジャブと、ボディブローを含めた強打を巧みに打つ、の繰り返し。
全体を見れば、ジャブをつきながらプレッシャーをかけ続けるヘイニーと、それをかいくぐって連打を放つロマチェンコの、どちらの攻撃を有効とみるかでまるで違ってくる展開なのだろう。

正直僕はロマチェンコの勝ちかな?と思ったのだが(会場もロマチェンコ推しが大多数のようだった)、結果はヘイニーの判定勝ち。

見方次第だが、どちらに転んでもおかしくない見応えはある試合だったので、判定に文句はないが、ウクライナの英雄がそれに相応しい称号を得られなかったことにはやや可哀想な想いを抱かざるを得なかった。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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