初体験のメジャー週末 比嘉一貴は決勝最下位も収穫多く

初出場の全米プロ最終日を「78」で終えた比嘉一貴(David Cannon/Getty Images)

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(21日)◇オークヒルCC(ニューヨーク州)◇7394yd(パー70)

初めて臨んだメジャーの週末に15オーバーを叩いた。4日間の通算20オーバーは76位。予選ラウンドを通過した選手のうち最下位という成績が、比嘉一貴のキャリアに刻まれた。

昨年の「全英オープン」、ことしの「マスターズ」でかなわなかったメジャーでの決勝ラウンド進出をカットライン上で果たし、大雨の3日目に「77」。晴天になったこの日は「78」とさらに後退した。出だし1番でグリーン右サイドからのアプローチを5mオーバーさせ、3パットのダブルボギー。「自分の中ではそこまで強いと思っていなかった。結構うまく打ったと思っていたんですけど…」とコースコンディションの回復にも驚いた。

カップがグリーンの四角に切られたホールばかりで、「タテの距離にスペースがないところが特に難しかった。200yd近いショットでさらに打ち上げだったりすると、なかなかボールを止められず、ギリギリを狙ってしまった」とショートゲームに負担がかかった。「課題? やっぱりアイアンの精度ですかね。(フェアウェイでなく)ラフからの方が、ショットのラインが出るのは、自分でも迷宮に行きそうな感じ」。得たのは自信よりも、課題の方が多い。

この2日間はいずれも午前8時台のスタートだった。最終組の選手がまだコースに到着するかしないかという時間帯にホールアウト。「正直、この位置ではまだそこまで(メジャーの)雰囲気は感じていないのかなと。本当に感じられるのはやっぱりトップ20くらいに入ってからかなと思う。そこに行けるよう準備しないといけない」。経験したいものはまだたくさんある。

ここまでのシーズンを振り返れば、3月末のPGAツアー「バレロテキサスオープン」から米国、日本、欧州で続いた予選落ちを5試合でストップさせたのも事実。今後は6月1日開幕のPGAツアー「ザ・メモリアルトーナメント」(オハイオ州ミュアフィールドビレッジGC)に推薦出場できる可能性がある。

上位に大きく引き離されても、比嘉は72ホールを丁寧に回り続けた。ショートパットも時間をかけてラインを読み、キャディとの情報交換も最後まで怠らなかった。「順位というよりは『今この状況で何ができるか』をずっと試していた。またどこかで、こういうタフな状況になった時に経験を生かせるように」。次のチャンスを見据えている。(ニューヨーク州ロチェスター/桂川洋一)

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