【イラストでたどる石州街道】 No.14「馬頭観音と地蔵」

▲文・イラスト=古谷眞之助

 大峠を越えて300メートルも下ると左手に河内社という水神がある。その詳しい由来は不明だが、近くから水が湧き出ており、おそらく峠から始まる水脈を祀っているのだろう。そこからさらに500メートルほど下って、道がカーブする辺りの左手に馬頭観音がある。

 馬頭観音は観世音菩薩の化身で、六観音の一つ。文字通り菩薩像の頭上に「馬そのもの」ないしは「馬の文字」が掘り込まれているのが特徴である。この菩薩像は、通行上危険な場所や農耕馬が死んだ場所の近くに建てられたと伝わるから、交通安全と動物愛護の意味が込められていると言って良いだろう。萩往還の小鯖地区に数か所、石州街道の杖立集落の上部にも立派な馬頭観音がある。

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