関東9都県市で「VOC」の注意喚起 健康被害の原因にも

東京都など関東9都県市※では6月1日から9月30日までを、光化学スモッグ注意報が発令されやすい「夏季のVOC対策重点実施期間」として、VOC(揮発性有機化合物)が排出されやすい有機溶剤を取り扱う事業所、建築塗装などの発注者・施工者に注意喚起を行っている。

※関東9都県市=埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市

VOC排出削減に向けた主な取り組みとして、▽事業者や一般家庭で実施できるVOC削減手法の普及啓発▽事業者や業界団体に対するVOCなどの原因物質削減に向けた協力依頼▽各都県市のホームページや広報紙を用いた情報発信―を実施する。

VOC排出・空調設備などに補助金

建築塗装などの発注・施工者に向けては、低VOC塗装の採用や塗装工程の時期の変更などを呼び掛けている。また、区市町村発注工事を対象としたVOC総合対策推進事業では、橋梁・公共施設などの鉄鋼部分を含む塗装工事について、▽水性塗料への転換▽有害物質の含有確認分析▽剥離などの作業に係る経費を支援する。補助率は対象経費の2分の1以内など。

他にも、都内の工場内塗装、印刷、ドライクリーニングのいずれかの作業でVOCを取り扱う中小企業または個人の事業者を対象に、VOC排出削減設備やVOC削減装置付空調・換気設備の導入に要する費用の一部を補助する事業を行っている。補助率は対象経費の3分の2、上限額は1台につき2000万円。

注意報発令数 過去10年の平均は8.3日

VOCは塗料・洗浄剤・ガソリンなどに含まれる揮発しやすい化学物質。大気中に排出されると太陽光(特に紫外線)などに反応し、光化学オキシダントを生成する。光化学オキシダントは、▽最高気温が25℃以上▽日照がある▽東京湾・相模湾から海風の進入がある▽風が弱い―などの条件が整うことで高濃度化し、見通しが悪くなったり、目や喉などに健康被害をもたらしたりする原因になる。

2022年度の都内全域の注意報発令日数(発令基準:オキシダント濃度0.12ppm以上)は7日。過去10年間の平均は8.3日となっている。

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