さくら市の女性監禁・傷害致死事件の初公判

 2019年、夫と妹と共謀して高根沢町の当時24歳の女性を、さくら市内の自宅に監禁し暴行を加え死亡させ、遺体を宮城県白石市の山林に遺棄したとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われている女の裁判員裁判の初公判が29日、宇都宮地方裁判所で開かれ、女は起訴内容を一部否認しました。

 傷害致死や死体遺棄などの罪に問われているのは、住所不定・無職の海部春香被告(27)です。

 起訴状によりますと、春香被告は2019年の9月上旬から12月にかけて夫の学被告と妹の高木沙耶花被告の3人で共謀して、高根沢町の田中早苗さん(当時24歳)をさくら市内の自宅に監禁し、複数回殴る蹴るなどの暴行を加えて死亡させ、遺体を宮城県白石市の山林へ遺棄したとしています。

 29日の初公判で、春香被告は傷害致死について「被害者が亡くなるときにその場にいなかった」と起訴内容の一部を否認しました。

 検察側は、冒頭陳述で3人が田中さんに売春をさせる目的で監禁して暴力をふるっていたとして、狡猾的な共謀が成立していたと指摘しました。

 また、被害者の死亡は、これまでの暴行の延長線上にあるとして、共同正犯の責任を追うことを求めました。

 一方弁護側は、春香被告が、田中さんが死亡する1カ月ほど前から出産のために入院するなど、田中さんが死亡したときに現場に居合わせなかったと述べた上で、電話で学被告らに暴行を止めるように伝えていたことから「傷害致死は成立せず、傷害罪となる」と主張しました。

 また、春香被告は学被告から日常的に脅しや暴力を受けていた従属的な立場だったといい、命令に逆らえず田中さんに暴行したと述べました。

 裁判は審理を経た後、6月28日に判決が言い渡されます。

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