オープンシアター2023 ダンス劇「マリーの夢」神奈川県民ホール 大ホールにて上演

神奈川県民ホールでは、子どもも大人も一緒に音楽や舞台、アートなどを 1日中楽しめるイベントとして、毎年、夏休みに「オープンシアター」を開催、今夏のオープンシアターは、おどる・しゃべる・うたう“ダンス劇”『マリーの夢』 バレエ「くるみ割り人形」の原作童話を舞台化。
今年のメイン企画は、おどる・しゃべる・うたう“ダンス劇”『マリーの 夢』。世界中で愛されるチャイコフスキー三大バレエのひとつ「くるみ 割り人形」。その原作とされる童話『クルミわりとネズミの王さま』(E.T.A. ホフマン作)を舞台化。
従来、オペラ・バレエの殿堂として多彩な公演を実施してきた神奈川県民 ホールが、子どもたちの心に訴えかける上質な作品の創造に取り組む。 夢と現実が行き来するちょっぴりダークで幻想的な物語を、ご家族で。

童話『クルミわりとネズミの王さま』は、ドイツの作家 E.T.A.ホフマンが、 親友の末娘マリーの7歳のクリスマスプレゼントに即興で創ったおはなし。 物語の語り手として登場するドロッセルマイヤーはホフマンの自画像と言われ ている。ホフマンは自身の子を幼くして亡くしていたこともあり、マリーを 大変可愛がっていたが、彼女もまた 13 歳という若さでこの世を去ってしまう。
ホフマンは、この物語を「そしてマリーは、(略)世にもすばらしい不思議 なものが、それを見る目がありさえすれば、いたるところに見られる国のお后 さまだということです」と締めくくります。マリーの死を予期して、ベッドか ら出ることのできない彼女に、“真実を見抜く素直な心と、想像力を膨らませ る力があれば、いつでもどこへでも旅に出掛けて誰でもその世界を生きること ができる”というメッセージを込めて、この物語をプレゼントしたのではない でしょうか。
“プレゼントがお話なんて!”と現代の子どもたちは思うかもしれませんが、 しかし、コロナ禍を経験した子どもたちにとって、想像力の羽を広げ、希望を 見いだす力は、生きていくうえで必要不可欠なもの。本作を通して、「心 の目を開けば、プレゼントはいつだって目の前にある」というメッセージを子 どもたちに。そして、大人たちにも、どこか懐かしいものに出会った ような気持ちを届けてくれることでしょう。

訳者あと書きより
まわりの世界は、ことにこの二、三十年で急速に変わってしまったかもしれませんが、子どもの 心の世界の豊かさは、元来だれもが持って生まれてくるものだと思います。これを訳しながら、 私は、くりかえし、わすれていた、なにかなつかしいものに出会ったような気持ちになりました。 このおはなしを、どうか一人でも多くの方が、子どもばかりではなく、おとなにももう一度、た のしんで読んでくださることを心から願っています。
2000 年初秋 上田真而子

ダンス劇『マリーの夢』の作・演出・振付を担うのは、世界最高峰のサーカス・エンターテイ ンメント集団シルク・ドゥ・ソレイユへの出演経験をもつ熊谷拓明です。帰国後は、“ダンス劇作 家”として“踊る「熊谷拓明」カンパニー”を主宰する傍ら、個人でも作品を発表し、子ども向 け作品への出演や、幅広いジャンルの公演で演出や振付を委嘱されるなど、さらなる活躍が期待 されるアーティストです。
熊谷の“ダンス劇”は、ダンスを愛するがゆえに行き着いた枠にとらわれない表現方法で、踊 りと言葉に境界線を持たない独自のスタイルです。その独特な動きは“ダンスに関心のない人に も観てもらうにはどうすべきか”と考えた先に生まれたものでもあるそうで、観る者を飽きさせ ない圧倒的な運動量や独創的な世界観は、ホフマンの原作にもマッチするものと確信しています。
また、さまざまなフィールドで活躍するアーティストが集結する点も見どころです。クラシッ クバレエから、元新国立劇場バレエ団プリンシパルの八幡顕光、フランスのバレエ団での活動経 験もある風間自然、コンテンポラリーダンスを軸にしながらオペラの創作に関わるなど多彩な活 躍をみせる中村蓉、岡本優、ストリート系ダンスバトルで数々の優勝経験のある ATSUSHI、老舗劇 団・燐光群の名優・鴨川てんしなど役者も加わり、これまでにないコラボレーションをご覧いた だきます。バレエではない、ミュージカルでもない、“ダンス劇”にご期待ください。

熊谷拓明より
夏の神奈川県民ホール。 きっと外とは違う空気が流れているはず。エアコンで涼しい?建物が大きくて歴史がある? 劇場ってそれだけではなく、不思議な場所なんです。 あるクリスマスの夜。頑張って大人になった大人と、もっと新しい大人になりたい子供がいる、ある 家族が体験した奇跡が、夏休みの皆様にも奇跡体験になるよう、今からドキドキしております。

ものがたり
マリーは、3きょうだいの末っ子。クリスマスのあの日。たくさんのプレゼントのなかで マリーがいちばん気に入ったのは、ドロッセルマイヤーおじさんがくれた不格好なクルミわり人形でした。ドロッセルマイヤーおじさんが語る「かたいクルミのおはなし」とは。ネズミの 王さまとクルミわり人形の秘密とは。マリーの夢は、本当に夢なの!? それとも……!?

概要
日程・会場:2023年8月19日(土)14:00 開演(13:30 開場) 神奈川県民ホール 大ホール(横浜市中区山下町 3-1)
作・演出・振付:熊谷拓明
演出補:中村 蓉
出演
ドロッセルマイヤー:鴨川てんし(燐光群)
パパ:ATSUSHI(Blue Print)
ママ:中村 蓉
ルイーゼ:東出宜子
フリッツ:歌川翔太
マリー:稲葉由佳利
クルミわり人形:風間自然
あの日のピエロ:福島玖宇也
あの日の妖精/ネズミリンクス夫人:岡本 優(TABATHA)
ネズミ:熊谷拓明
ネズミの王さま:八幡顕光(元新国立劇場バレエ団プリンシパル)
主催:神奈川県民ホール (指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
助成:一般財団法人地域創造 文化庁文化芸術振興費補助金Ι独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:一般社団法人日本障害者舞台芸術協働機構
公式サイト:https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/mary

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