「はしか」の感染者数、早くも昨年を上回る 感染研が注意喚起

 国立感染症研究所が30日、はしか(麻しん)の感染拡大の可能性が危惧されるとして注意喚起の文書を発表した。今月21日時点で全国における感染者が12人判明しており、早くも昨年の数を上回っている。

感染者が受診前に公共交通機関利用

 感染研が各地の疫学調査をまとめたところによると、今月21日の時点ですでに12人の感染例が報告されており、昨年1年間の感染者数を早くも上回った。はしかは咳、鼻水、発熱、発疹、結膜炎などが主な症状で風邪やインフルエンザと似ているが、高熱をともなうことが知られており、肺炎や脳炎などの重篤な急性の合併症を引き起こす場合がある。またインフルエンザの約10倍の感染力があり、空気感染するため感染拡大しやすい。

 今回、感染研が一般に向けて注意喚起を行ったのは、少なくとも3例の患者が、共通の公共交通機関を利⽤していたことが分かっているからだ。不特定多数と接触した可能性があるため、今後さらに多くの感染が予想される状況となっている。また現在インドやインドネシアではしかが流行しており、こうした地域から感染に気づかないまま旅行等で入国し、感染が広がる可能性も懸念される事情もある。

 はしかは、基本的にはワクチンを2回接種していれば抗体が生涯体内に残るため、効果的な感染予防となる。40歳以降についてはワクチン未接種または1回のみ接種の可能性があるため、感染研は接種歴を確認するよう呼びかけている。またはしかと思われる症状を自覚した際には、事前に医療機関に連絡し、公共交通機関を使わずに受診するよう求めている。

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