800光年先「ほ座超新星残骸」の緻密な細部

こちらは約800光年先にある超新星残骸「ほ座超新星残骸(Vela Supernova Remnant)」の一部を捉えた画像。横方向の範囲は満月の視直径の8割程度です(視野は24.62×24.63分角)。輝く星々の背後に広がる、複雑に絡み合ったフィラメント状(ひも状)の繊細な構造が捉えられています。

【▲ VLTサーベイ望遠鏡(VST)で撮影された「ほ座超新星残骸」のクローズアップ(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

超新星残骸とは、超新星爆発が起こった後に観測される天体のこと。爆発にともなって発生した衝撃波が広がり、周囲のガスを加熱することで、可視光線やX線といった電磁波が放射されていると考えられています。

画像を公開したヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、「ほ座超新星残骸」は現在観測されている状態から約1万1000年前に起きた「II型超新星」の後に残された残骸だと考えられています。II型超新星は太陽の8倍以上重い大質量の恒星が引き起こすとされる超新星爆発の一種です。画像に写る緻密な構造は、外側へと広がっていく衝撃波がガスを圧縮したことで形成されたとみられています。

この画像はESOが運営するパラナル天文台(チリ)の「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」で取得した画像(5種類の光学フィルターを使用)をもとに作成されたもので、ESOの“今週の一枚”として2023年5月29日付で公開されました。

なお、2022年10月にはOmegaCAMのデータを用いて作成された「ほ座超新星残骸」の高解像度画像がESOから公開されています。

関連:ほ座にある壮大な超新星残骸の姿、あなたは何に見える?(2022年11月26日)

Source

  • Image Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit
  • ESO \- Giant cosmic networks

文/sorae編集部

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