世界環境の日、 プラスチックごみの巨大地球儀に込められた思い

By 「ニューヨーク直行便」安部かすみ

イスラエル在住の芸術家、ビバリー・バラカト(Beverly Barkat)さん。(c) Kasumi Abe

今日6月5日は、世界環境デー(環境の日、World Environment Day)。1973年に始まったもので、今年は50周年の記念の年にあたる。これを記念し、ニューヨークの世界貿易センター跡地で、地球の環境問題に訴えかける新たなパブリックアートのインスタレーションがお目見えした。

4メートルの高さの巨大な地球儀は、実はプラスチックごみからできたもの。手がけたのはイスラエル在住の芸術家、ビバリー・バラカトさんで、作品名はアース・ポエティカ。3年もの年月をかけて作られた大作だ。

(c) Kasumi Abe

ビバリーさんが6大陸の海岸や海洋から、友人にも協力してもらいかき集めた廃棄物(ボトルや蓋、プラスチックの袋、漁網など)を、竹を割った隙間に詰めて作った。外から差し込む優しい光に照らされてステンドグラスのような美しさを放っているが、内側を覗いてみるとこれらの美しさのディテールは実は「ごみ」であることに気づく。まさにこれこそが「現実」である。

昨年1月、スタジオでの制作中の様子。50トンものごみを使って作られた。Photo: Amit Elkayam
ビバリーさん自身が竹を割って、ゴミを中に詰めて作った。(c) Kasumi Abe

ビバリーさんはこの展示スペースと縁があり、視察をするタイミングで、たまたま観たドキュメンタリーでプラスチックごみ汚染の現実を知った。

「この問題についてリサーチをすればするほど、これは1国ではなく世界が手を取り合って解決しないといけないものだとわかった」とバラカトさん。これがごみによる地球儀を作るきっかけになった。グランドゼロに位置するこの場所は世界中から観光であらゆる人が集まる場所だ。「ここは『再生』の象徴でもある。たくさんの方が訪れこの作品を目にし、地球の再生と希望につながればうれしい」。

作品は国連環境計画 (UNEP) の協力のもと、グランドゼロにある3ワールド・トレードセンター(3 World Trade Center, New York, NY 10007, USA)にて今秋まで展示。入場無料。

グラウンド・ゼロのオキュラスの隣のビル入り口付近で展示。(c) Kasumi Abe

Earth Poetica by Beverly Barkat

ビバリー・バラカト(Beverly Barkat)2014年、日本の書道からインスピレーションを得た絵画シリーズが第28回国際美術展(京都)にてキュレーター賞を受賞。

#ビバリー・バラカ #ビバリー・バーカット

ニューヨーク直行便 安部かすみ Text by Kasumi Abe 無断転載禁止

© 安部かすみ