夕張メロンの付加価値戦略 チョコレートにNFTも

今回は日本経済新聞社との紙面連動企画「食の王国 売れる極意」。紹介するのは北海道の夏の味覚「夕張メロン」だ。

【初競りでは2玉350万円! 栽培には繊細な作業も】

先月、札幌市中央卸売市場で初競りが行われた。落札したのは、地元夕張の「ホクユ―パック」。過去2番目に高い2玉350万円で競り落とされた。

夕張メロンの出荷を控える生産農家の畑を訪ねた。佐藤さんは自らの畑を持って16年目だ。佐藤さんは「ことしは天気も良く気温も4~5月と高かったのでメロンの状態はすごく良い」と話す。

湿度や温度の管理が他のメロンに比べ細やかなのが夕張メロンの特徴。ひとつひとつの工程の手間を惜しまないことが独特の甘味を引き出すことにつながっているようだ。この日は、摘果したあとのメロンを立て、下にマットを敷いていく作業。

この作業をしないと、暑さでメロンが焼けたり、跡が付いたりしてしまうのだと言う。ひとつひとつが手作業。佐藤さんが栽培する夕張メロンは年間3万5000個に上る。

実は夕張メロンには課題が。年々、栽培農家数が減少しているのだ。夕張メロンの農家数は、ピークの1991年には216戸あったが、最近では98戸にまで減少。年間450万個に上っていた生産数も今では半分以下の200万個ほどにまで減少した。

【“権利”の販売で価値を高める NFT好調】

JA夕張市は「夕張メロンNFT」の販売をHPで始めた。NFTとは、資産価値が認められたデジタルデータ。購入者には夕張メロン1個をもらえる権利と夕張メロンアンバサダーになれる権利が。アンバサダーになれば、夕張メロンの生産状況をみたりイベントやグッズなどの企画に携わることができるという。NFTアートも受け取ることができ、888種類、全て絵柄が違うのだという。

価格は1万4000円。これまでに260人ほどが購入した。1万4000円のうちメロン代は6000円、残りの8000円がアンバサダーになれる権利、いわば付加価値だ。

道の駅では、新たな取り組みが動き出している。夕張出身の声優石黒千尋さんとのコラボ。JA夕張市の要請で実現した。グッズは、道の駅限定販売だ。

【チョコレートにゼリー “加工”で価値を高める】

菓子製造販売のダダカ。去年10月、市内に工場を構えた。ここで主力の人気商品「カカオキャット」が製造されている。ことしは年間約2000万粒を生産予定だ。

工場開設により30人ほどを地元で採用。バレンタインデーの前など冬場の繁忙期にはメロン農家も作業をするという。そんなダダカが力を入れているのが、「カカオキャット 夕張メロン味」だ。

そして、先月には新商品「夕張メロンゼリー」も発売した。

北海道が誇るブランド「夕張メロン」。可能性はまだまだ広がりそうだ。
(2023年6月10日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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