真鶴町長リコール署名数、3分の1超す 解職の是非を問う住民投票、実施濃厚に

真鶴町役場

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿抄本を自らの町長選に不正利用した松本一彦町長のリコール(解職請求)を求めて署名活動をしていた住民団体は8日、リコールに必要な全有権者数6217人(1日時点)の3分の1を超す2135筆の署名が集まったと発表した。団体側は署名収集期限の10日まで上積みを図るとしており、解職の是非を問う住民投票が実施される可能性が濃厚となった。住民投票で過半数が賛成してリコールが成立すれば、県内では城山町長(当時)以来、17年ぶりとなる。

 署名活動を展開しているのは「真鶴の未来をつくる会」(青木厳会長)。受任者163人に発行した署名簿243冊のうち210冊分を回収したり電話で聞き取ったりして、有権者の3分の1に当たる2073筆を超える署名が集まったことを確認した。未回収分の署名簿と残り2日間の追い込みでさらに150筆の上積みを目指すとしている。

 団体側は重複した署名の確認などを行い、15日までに町選管に提出する予定。すでに2100筆のうち1700筆で重複などがないことを確認しているという。町選管は20日以内に有効署名の審査を行い、その後7日間、有権者を対象に署名簿の縦覧が行われる。

 異議申し立てがない場合は本請求を経て60日以内に住民投票が行われる。過半数の賛成で松本氏は失職し50日以内に町長選が行われることになる。団体によると、住民投票は9月~10月、町長選は11月ごろの実施が見込まれるとしている。

 必要な署名数が確保できたことに、青木会長は「ローラー作戦などで住民投票に向けて(リコールの必要性の)浸透を図り、民意を形にできた」と喜んだ。

 一方、松本氏の支援団体はSNS上で「(松本氏を)リコールすることに真鶴町の未来への展望は見えない」と声明を発表。松本氏は神奈川新聞の取材に「今はコメントできない」と話した。

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