「ロナウジーニョ×2<ヴィニシウス」。過密日程に警鐘

写真:ビッグクラブと代表で中心を務める選手は、自然と試合数が増加する ©Getty Images

プロサッカー選手協会(FIFPRO)は、2022-23シーズンの終了に合わせた6月8日、『極度な過密日程:選手の健康と幸福感に対する悪影響』と題した報告書を発表した。

スペイン『マルカ』紙の電子版がその内容を抜粋して伝えているのだが、2022-23シーズンはカタール・ワールドカップを途中で挟んだ影響により「これまでで最も日程が過密なシーズンの一つ」だったという。

また、同報告書の中でFIFPROは、選手の通算プレー時間が極端に増えていることに対して警鐘を鳴らしている。

たとえば、現在22歳のブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)は、これまでにクラブと代表チームで通算1万8876分間プレーしている。これは、元ブラジル代表のロナウジーニョが22歳の時に記録した通算プレー時間の2倍以上だという。

他にも、20歳のスペイン代表MFペドリ(バルセロナ)はこれまでに1万2000分以上プレーしており、これは現バルセロナ監督であるシャビが20歳の時より25%以上多く、レアル・マドリードへの移籍が決定したばかりのイングランド代表MFジュード・ベリンガム(19歳)のプレー時間も、元イングランド代表のウェイン・ルーニーが19歳の時よりも30%以上、多いという。

特に顕著な例として紹介されているのがフランス代表FWキリアン・エンバペ(パリ・サンジェルマン)のケースで、彼が24歳の現在までに積み上げたプレー時間は2万6952分間。これは元フランス代表のティエリ・アンリの24歳の時と比較して、実に48%も多いという。

FIFPROは「これまで、サッカー関係者は利益の追求を最優先させて様々な大会を拡張させ、選手の健康や安全対策を無視してきた」と言及。

「一部の選手たちは(ケガやコンディション不良で)出場機会を減らしたり、早いタイミングでキャリアを終えたりしなければならなくなっているが、彼らを守るための解決策は見えていない」とし、「サッカー選手と試合に関わるすべての人々の健康と安全は何よりも優先されなければならない」と指摘した。

なお、2シーズン先の2024-25シーズンにはチャンピオンズリーグが現行の32チーム制から36チーム制に移行し、シーズン終了後には32チームが参加する新フォーマットでのFIFAクラブワールドカップもスタートするため、最も多くの試合を戦うクラブの所属選手は、現状から11%増となる最大89試合に出場する可能性があるという。

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