「少年院、二浪、ヒモ…」挫折だらけの半生 作家・新庄耕さんが沖縄の高校生に語ったこと

 「高校生のための文化講演会」(主催・一ツ橋文芸教育振興会、琉球新報社)が8日、うるま市の石川高校で開かれ、小説家の新庄耕さん(39)が「少年院、二浪、ヒモ~どん底から作家になるまで~」と題して講演した。挫折だらけだったという自身の半生を振り返り、「10代の時に人生を見つめ直していたら失敗も少なかったかも。他の誰でもない自分の人生をどうしたいのか考えてみて」と語りかけた。

 16歳の時に暴力事件を起こし、少年院に送致された新庄さん。「お前には無理」という周囲の嘲笑をばねに勉強し、2浪して慶応義塾大に合格した。

 だが大学では他の学生と比較して劣等感を抱き、心身を持ち崩した。就職先の会社も1年半で辞めてしまった。

 26歳のころに人生を見つめ直し、パートナーに養ってもらいながら小説を書き始めた。投稿を続け、2012年に『狭小邸宅』がすばる文学賞を受賞。作家デビューを果たした。

 石川高の生徒約300人が講演に耳を傾けた。3年生の仲間寿々さん(17)は「目標を立てて日々を大切にしたい」と話した。

 講演後、一ツ橋文芸教育振興会から集英社文庫100冊と新庄さんの著書が石川高に寄贈された。講演会は9日、南部工業高でも開催された。(古川峻)

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