原発事故遺伝的影響「高い」認識者20%以下に

 環境省は令和5年(2023年)版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書で、東京電力福島第一原発事故の被災地=福島県=での次世代以降の人(将来生まれてくる子や孫など)への放射線による健康影響(遺伝性影響)について21年3月に実施したアンケート調査(全国10ブロック、各420人=計4200人)の結果、「起こる可能性が高い」(34.8%)「非常に高い」(6.4%)と受け止めている人が計41.2%に上っていることを踏まえ「25年度までに20%以下になるよう」理解を高めるよう努めるとしている。

 福島県民に次世代への健康影響が起こる可能性が高いとの認識は、環境省は「差別や偏見につながる可能性がある」と危惧している。

 白書では、福島県「県民健康調査」検討委員会が「現時点において本格検査(2回目検査=14年度~15年度)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」としていることを紹介。合わせて甲状腺検査は各対象者に原則2年に1回実施しているとしている。

 政府は放射線健康影響に関する正確な情報を発信し、差別・偏見を払拭するため「学び・知をつむぐ」「人・町・組織をつなぐ」「自分ごととしてつたわる」取組みを推進するとともに「福島県内に加え、今後、県外避難者を含め放射線相談員支援センターで放射線に関する健康不安軽減のためリスクコミュニケーション活動を強化する」としている。(編集担当:森高龍二)

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