【連載コラム】第16回:日本人初の本塁打王に向けて視界良好! ライバル2人の故障離脱も追い風に

写真:日本時間13日の試合で今季20号を放ち本塁打数リーグ単独トップとなったエンゼルス・大谷翔平 @Getty Images

日本時間6月13日、大谷翔平(エンゼルス)がレンジャーズ戦で2本塁打を放ち、アメリカン・リーグ本塁打王争いのトップに躍り出ました。同日終了時点でのランキングは、1位の大谷が20本、2位のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が19本、3位のヨーダン・アルバレス(アストロズ)が17本、4位には15本でラファエル・デバース(レッドソックス)、アドリス・ガルシア(レンジャーズ)、ルイス・ロバートJr.(ホワイトソックス)の3人が並んでいます。大谷はチーム68試合目終了時点で20本塁打を放っており、162試合に換算すると47.6本塁打ペース。6月に入ってからの11試合で5本塁打を放つなど、キャリアハイの46本塁打(2021年)を上回るペースでアーチを量産しています。

こうなってくると、日本人初となる「メジャーで本塁打王のタイトル獲得」への期待もおのずと高まります。2002年オフ、直前のシーズンに自己最多の50本塁打を放った松井秀喜が海を渡り、ヤンキースに入団しましたが、1年目は16本塁打どまり。メジャー10年間で175本塁打を放ちましたが、2年目のシーズン31本塁打が最多で、日本球界トップの長距離砲でもメジャーの本塁打王争いに加わることはできませんでした。僕自身もそうでしたが、あの「ゴジラ」がメジャーでは「打点マシンの中距離打者」に転身せざるを得なかった時点で、日本人がメジャーで本塁打王のタイトルを獲得することは「夢のまた夢」という認識を持った人は多かったのではないかと思います。

しかし、2021年に大谷がメジャー有数のパワーヒッターとして開花。前半戦だけで松井の日本人シーズン記録を更新する33本塁打を放ち、ア・リーグの本塁打王争いで先頭を走りました。ホームラン・ダービー出場を経て、後半戦に13本塁打と失速し、前半戦に28本塁打、後半戦に20本塁打を放ったブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)と前半戦に21本塁打、後半戦に27本塁打を放ったサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)に抜かれて3位に終わりましたが、ついに日本人がメジャーの本塁打王争いに加わる時代がやってきました。昨季はリーグ新記録の62本塁打を放ったジャッジに大差をつけられたものの、リーグ4位の34本塁打を記録。2021~22年の合計80本塁打はゲレーロJr.と並ぶメジャー2位(1位は101本のジャッジ)となっており、この2年間でメジャーを代表する長距離砲としての地位を確立したと言っても過言ではないでしょう。

そして迎えた今季、大谷は日本時間6月13日の全試合が終了した時点でア・リーグ本塁打王争いのトップに立っています。最大のライバルであるジャッジは右股関節を痛めて5月頭に故障者リスト入りし、戦列復帰後23試合で13本塁打を量産して一気に本塁打王争いのトップに立ったものの、日本時間6月4日のドジャース戦で守備時にフェンスに激突して右足親指を痛めてしまい、今季2度目の故障者リスト入り。リーグ3位の17本塁打を放っているアルバレスも日本時間6月9日のブルージェイズ戦の試合前に右脇腹を痛め、故障者リスト入りしています。1人のMLBファンとして、強打者2人の故障者リスト入りは残念ですが、大谷が本塁打王のタイトルを狙ううえで強力な追い風となることは間違いないでしょう。

また、大谷を上回る22本塁打を放っているピート・アロンソ(メッツ)も死球で左手首を痛めて故障者リスト入り。今季の大谷はア・リーグ本塁打王だけでなく、メジャー全体の本塁打王も狙えるかもしれません。2023年、ついに日本人初の本塁打王が誕生するのか注目です。

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