水戸・偕楽園ユースホステル廃止 茨城県内唯一も利用低迷

廃止方針が明らかになった偕楽園ユースホステル=水戸市緑町

水戸市緑町の県立青少年会館内にある宿泊施設「偕楽園ユースホステル」について、県は16日、来年3月末で廃止する方針を明らかにした。新型コロナウイルス禍で利用率の低迷が続き、青少年利用者も減少。若者などに安全で安価な宿泊を提供する「ユースホステル」は、同施設の廃止で県内から姿を消すことになる。

同施設は1996年10月に事業開始。県内唯一のユースホステルで、同会館の4階に和室(定員5人)7室、洋室(同2人)2室を備える。料金設定は高校生から25歳未満の青年は1泊440~1090円で、格安さが特長となっている。

県青少年家庭課によると、利用者は2019、20年はいずれも千人を割り込み、利用率は5%未満だった。22年は1559人(利用率8.5%)とやや回復したが、ピーク期の07年でも5741人(同29.3%)にとどまっていた。事業開始以降、収支がプラスになった年はなかったという。

青少年などの利用は近年、全体の20~30%台で推移し、ビジネスでの一般利用者が多い状況。ユースホステルは若者の旅や交流を支える役割を担うが、利用状況は本来の目的とは乖離(かいり)していた。

廃止は現在の指定管理者の指定期間が満了する来年3月31日の予定。施設があった同会館4階は、同4月からの次期指定管理者と相談し、活用を図っていくという。

同施設の廃止方針は16日の県議会保健福祉医療委員会で示された。一部委員からは「収益は大きな目的ではない。安心、安価に宿泊を提供できる場所を確保したい」など再考を求める声が上がった。県側は「ビジネス利用が多い現在の形なら、民業でも(宿泊料金が)4千~5千円台の施設がある」などとして、廃止方針に理解を求めた。

同課は「施設運営は長年の課題だった。若者の利用が減るなど時代の流れもあり、廃止の方針となった」と説明した。

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