北方領土の行方は 千島連盟・松本理事長にインタビュー

北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟、通称・千島連盟のトップが8年ぶりに交代しました。先行きの見えない北方領土問題にどう向き合うのか松本・新理事長に話を聞きました。先月行われた総会で新たに理事長に選出された松本侑三さん。択捉島・留別村出身、81歳です。

松本さん「(子供のころ)軍人さんが2階に遊びに来て蓄音器がうちにあったのでレコードを聞きに来ていました。来るたびに金平糖とかキャラメルもらった」

北方領土返還活動を取り巻く環境は厳しさを増していて4月にはロシア最高検察庁が千島連盟を「望ましくない団体」と認定しました。

松本さん「非常に遺憾な声明。私たちにとってはこんなことまで言われる筋合いあるのかなと」

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、日本が対ロ制裁を発動したことへの対抗措置とみられます。北方領土での交流事業の再開も先行きが見えず、松本さんは今月13日、岸田総理に要望書を渡しました。

松本さん「四島交流事業の中でも特に北方墓参の早期再開に向けてよろしくお願いします」

交流事業の中でも北方墓参は特別だと訴えます。

松本さん「1964年に始まった、墓参については人道的支援ということでソ連がロシアに変わるあんな混乱した時点でも墓参は実行できた、現在のロシアの人たちも私たちもなにか違った重みをもっているものがあるんだろうなと」

元島民は平均年齢87歳を超え、連盟の会員の3割ほどにまで減少しました。返還運動を次の世代に引き継いでいくのも課題です。

松本さん「(元島民は)島での生活とか島の自然とかいろんなことをこれから活動する人・いま活動している人たちに語り継いでほしい。(次世代も)もっと聞いていただきたい。私たちが北方四島で失ったものがいかに大きいものであるか」

趣味は蝶の収集。蝶の話題になると笑顔が絶えません。

松本さん「自分の生まれたその地で思い切り花園の中でちょうちょを採ってみたいと思ってます。これが私の夢です」

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