【連載コラム】第17回:2年ぶり5度目の週間MVP受賞! エンゼルス・大谷翔平の歴史的な1週間

写真:通算5度目の週間MVPを受賞したエンゼルス・大谷翔平 @Getty Images

日本時間6月21日、MLBでは2023年レギュラーシーズン12週目(現地時間6月12~18日)の成績を対象とした週間MVPが発表され、アメリカン・リーグは大谷翔平(エンゼルス)が2年ぶり5度目の受賞となりました(ナショナル・リーグはブレーブスのマイケル・ハリス2世が受賞)。昨季1度も受賞がなかったのは少し意外な気もしますが、通算5度目の受賞はイチローさんと並んで日本人選手では歴代最多。まだ28歳であることを考えると、今後、大谷が日本人選手で単独トップに立つことはほぼ間違いないでしょう。

まず、大谷が5度の週間MVPを受賞したときの成績を紹介します。

2018年4月2日~4月8日
【打撃】 3試合 打率.462(13打数6安打) 3本塁打 7打点 OPS1.654
【投球】 1試合 7回 被安打1 奪三振12 与四球1 失点0 勝利投手

2018年9月3日~9月9日
【打撃】 5試合 打率.474(19打数9安打) 4本塁打 10打点 OPS1.828
【投球】 登板なし

2021年6月14日~6月20日
【打撃】 7試合 打率.296(27打数8安打) 6本塁打 9打点 OPS1.350
【投球】 1試合 6回 被安打5 奪三振5 与四球1 失点1 勝利投手

2021年6月28日~7月4日
【打撃】 6試合 打率.286(21打数6安打) 6本塁打 8打点 OPS1.543
【投球】 1試合 2/3回 被安打2 奪三振1 与四球4 失点7 勝敗つかず

2023年6月12日~6月18日
【打撃】 7試合 打率.435(23打数10安打) 6本塁打 12打点 OPS1.893
【投球】 1試合 6回 被安打6 奪三振3 与四球1 失点2 勝利投手

過去4度の受賞時も素晴らしい成績を残していますが、今回の打撃成績は特に圧倒的です。大谷は先週の7試合のうち、最初の6試合で「長打+四球+得点」を記録しましたが、これは1921年に7試合連続を記録したベース・ルース、1997年に6試合連続を記録したバリー・ボンズに次ぐ史上3人目の快挙。日本時間6月19日のロイヤルズ戦では本塁打を放ったものの、四球がなく、惜しくもルースのメジャー記録に並ぶことはできませんでしたが、過去に通算700本塁打以上を放っている2人のレジェンドしか到達していなかった領域に足を踏み入れました。

また、7試合のスパンで「2二塁打+6本塁打+10四球」をクリアしたのは、1957年のテッド・ウィリアムスとミッキー・マントル以来66年ぶりの快挙。みなさんご存じの通り、ウィリアムスは「最後の4割打者」として知られ、歴代最高の通算出塁率.482を誇る名打者、マントルもヤンキース一筋で強打のスイッチヒッターとして活躍し、通算536本塁打を放ったスーパースターです。先週の大谷の活躍と比較されるのは、ルース、ボンズ、ウィリアムス、マントルとMLBファンなら誰もが知っているであろう「レジェンドのなかのレジェンド」ばかりなのです。

さらに、大谷は日本時間6月1日からの18試合で28安打、18長打、15四球、11本塁打、3盗塁を記録。18試合のスパンでこれらの数字をすべてクリアしたのは、過去に1927年のルー・ゲーリッグしかいません。ゲーリッグは2130試合連続出場を達成した「鉄人」で、ルースと史上最強の3・4番コンビを形成した名選手。ここでも「レジェンドのなかのレジェンド」の名前が出てきます。

比較対象となる選手の名前の豪華さからもわかるように、まさに歴史的な1週間を過ごした大谷。その結果、「本塁打と被打率でメジャートップに立つ」という前人未到の大記録も打ち立てています。現在、継続中の記録としてはメジャー最長となる15試合連続安打、22試合連続出塁、7試合連続長打をマークするなど絶好調。順調にいけば、2年ぶり3度目となる月間MVPはもちろんのこと、2年ぶりのア・リーグMVPを受賞する可能性も高く、最高の形でオフのFA市場に飛び込むことになりそうです。

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