本木雅弘と小泉今日子が31年ぶりに共演! 倉本聰脚本「海の沈黙」小樽ロケに潜入

倉本聰氏が35年ぶりに映画の脚本を手掛けた「海の沈黙」の撮影が6月16日、北海道・小樽で行われた。本木雅弘、小泉今日子が出演する大人のラブストーリーで、2人が俳優として共演するのは、1992年に放送されたフジテレビ系連続ドラマ「あなただけ見えない」以来31年ぶり。ここでは、中井貴一、菅野恵も参加した撮影現場の様子を紹介する。

物語は、世界的シンジケートによる絵画の贋作(がんさく)事件が日本を揺るがす中、無数の浮世絵の刺青が彫られた女性の死体が北海道の海で発見されることから始まる。二つの事件から浮上したのは、かつて画壇から追放された天才画家(本木)。贋作事件の捜査の手が迫る中、かつての恋人(小泉)が画家を追って、北海道へやって来る――。中井は画家の後見人、菅野は画家のもう一つの顔である彫師のモデルを演じる。監督は若松節朗氏。

この日は、小樽運河沿いの石造り倉庫を貸し切り、小泉と中井がバーで会話したり、周辺の運河沿いを歩いたりする場面の撮影が報道陣に公開された。多くのスタッフが集まり緊張感が漂う中、にこやかに現場入りした2人は、真剣な表情で打ち合わせたり、入念に動きを確認したりしていた。

マスコミの取材に応じた倉本氏は「この作品は僕の中では5~60年温めてきたもの」と思いを明かし、88年公開の映画「海へ ~See you~」以来に映画の脚本を書き上げたことについて、「もうちょっとで死んじゃいますから。生きている間に何か書きたい」とユーモアを交えて心境を説明。また、「みんな台本をリスペクトしてくれ、深く読んでいただき、集まってくださったことに、ただただ感謝しています」と出演者への感謝を口にした。さらに、ロケ地となった小樽の街に関しては、「小樽の風物は日本離れしていて合うなと思った」と話した。

主演の本木は「非常に難しい本。一口にいうと、美にまつわる大人の寓話という感じ。美に対する教訓みたいなものを、倉本先生が書かれたと思っています」と語った。

一方、小泉は“花の82年組”の同期となる本木との共演に、「出会った時は15歳くらいでしたよね。歌手として活動し始めて…。(俳優として)同じ作品で力を合わせることができるのは、とてもうれしいことです」と感慨深げな表情を浮かべた。

また、倉本氏が脚本を担当した2008年のフジテレビ系連続ドラマ「風のガーデン」に主演した中井は、倉本氏の「中井貴一という、世間で善人と思われているエセ紳士にぴったりの役柄が…」とのコメントに、「なんで俺だけ、そこ突くんですか(笑)」とツッコむなど、強い信頼感をにじませつつ、「いろいろなものが分かりやすくなり過ぎている時代、皆さんが想像力や妄想力をもって理解してもらえる作品になれるよう、努力したい」と気持ちを引き締めた。

映画「海の沈黙」は、小樽のほか、余市や札幌でも撮影が行われる。公開は2024年を予定。

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