「未来に残したい草原の里100選」に選出 平戸・中瀬草原キャンプ場、五島・鬼岳

 平戸市の「中瀬草原キャンプ場」と五島市の「鬼岳」が、「未来に残したい草原の里100選」に選出された。中瀬草原はヒツジの放牧による草原景観再生・維持を近隣の農家などとの連携、鬼岳は他の離島に先駆けた保全管理・活用の発信などが評価された。
 全国草原の里市町村連絡協議会(事務局・長野県小谷村教委)が主催。草原に関わる歴史や文化、地域に根付く活用の知恵などを再確認する社会を次世代に残すことが目的。昨年の第1回選考では、雲仙市の田代原草原など34カ所、今年は本県2カ所を含む14カ所が選ばれた。
 中瀬草原キャンプ場(敷地面積約8.7ヘクタール)は玄界灘に面し、山並みと海、島の雄大な風景が人気。平戸市は2019年度、改正都市公園法で新設された公募管理制度(Park PFI)を活用し、運営会社「中瀬草原キャンプ場」と協定を締結。20年4月にリニューアルした。
 放牧するヒツジが草を食べ、景観を維持する。草が少ない時期は農家から引き取った野菜くずを餌にし、草が多い時期は畜産農家に飼料として提供。地元との協力関係を構築している。
 同社の白石悦二社長は「未来に草原を残すため、今の取り組みをさらに発展させることを求められたと思う。まだ、始まったばかり。農家などとの協力関係を保ちたい」と語った。
 鬼岳は五島市のシンボルとして親しまれ、西海国立公園内にある標高315メートルの火山。草原部分は約70ヘクタールあり、海や空の青色とのコントラストが美しい。数年に1度、山焼きを行い、景観・環境を維持している。
 5月の大型連休にはバラモン凧(だこ)揚げ大会が開かれるなど、市民になじみが深いスポット。商工関連など約20団体が一斉に参加する清掃活動も行われている。
 貴重な地形や地質が残る日本ジオパークに認定され、ジオガイドらとの連携によるポテンシャルの高さも評価された。市文化観光課の担当者は「ジオパークと草原100選を絡めてアピールし、草原の保全、活用の取り組みを続けたい」としている。

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