生徒や教員の思い伝え400号 秦野の元公立中学校長・武勝美さんの教育個人紙 足かけ40年「生きがい」

思いや言葉を紡いできた武さん=秦野市寺山

 元公立中学校校長の武勝美さん(86)=神奈川県秦野市寺山=が毎月発行してきた教育個人紙「ECHO(エコー)」が節目の400号を超えた。約40年にわたって生徒の声や教員の思いなどを紡いできた武さんは「生きがいの一つ。続けることで何かの誰かのきっかけを生んでくれていれば」と話す。

 ECHOは「『子どもの声』『親の願い』『教員の思い』を学校に響かせたい」と、1985年に創刊した。

 創刊号では、6カ年皆勤をした際に表彰すると担任の先生と約束したが、忘れられた児童が落胆する記事を掲載した。その後も修学旅行で仲間外れにならないために真面目な児童が、あえてやんちゃな集団に入って乗り切ったことや、母親が蒸発して真面目な生徒が崩れていった話、教え子を元気づけた教員のエピソードなど多彩な話題を伝えた。

 「仲間を売るようなことはやめな」という声もあったが発行を続け、現在は教育への考え、行事紹介、読者から寄せられたメッセージなどを中心に掲載している。近年は新型コロナウイルス禍や自身の入院生活などの困難もあったが、乗り越えて節目にたどり着いた。

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