漫才師・ナイチンゲールダンスが「ツギクル芸人グランプリ2023」で4代目王者に! 直前でライバルのひつじねいり・細田からのアドバイスで優勝するも「悪意100%でした」【優勝会見リポート】

日本音楽事業者協会とフジテレビがタッグを組んで開催するお笑いコンテスト「ツギクル芸人グランプリ2023」の決勝大会が7月8日に東京・台場のフジテレビにて行われ、吉本興業所属のコンビ・ナイチンゲールダンス(中野なかるてぃん、ヤス)が4代目王者に輝いた。

決勝大会に登場したのは、インテイク、群青団地、さすらいラビー、さんだる、ゼンモンキー、ツンツクツン万博、TCクラクション、徳原旅行、ナイチンゲールダンス、パンプキンポテトフライ、ひつじねいり、ファイヤーサンダー、ママタルト、まんじゅう大帝国、三日月マンハッタンの15組。A、B、Cの三つのブロックで争い、ファイナルステージにはツンツクツン万博、ひつじねいり、ナイチンゲールダンスの3組が進出。審査員10票中、7票を獲得したナイチンゲールダンスが大会を制した。

放送終了後、取材に応じた2人。結成7年目で初タイトル獲得を果たした喜びや、今後の目標などを力強く口にした。

ライバルのひつじねいり・細田さんからアドバイス「悪意100%でした」

――優勝おめでとうございます! 今の率直なお気持ちを教えてください。

中野 「本っ当に、出てよかったって思いました」

ヤス 「出てよかったですね。本当に、一つも賞が取れていなかったんです。『やっと取れた!』っていう気持ちでいっぱいです」

中野 「ネタ前のVTRでも“NSC首席”と紹介されて。7年間ずっと“NSC首席”という肩書しかなかったので、新しい肩書として“『ツギクル芸人グランプリ』チャンピオン”と名乗れるのはとてもうれしいです」

ヤス 「爆笑問題さんは、ずっとネタが大好きで見させてもらっていました。今日も、出演者の中で一番笑いを取っていらっしゃったのが爆笑問題さんでした(笑)。最初は『太田(光)さんだ!』って楽しかったんですけど、中盤以降は『あれっ? 俺たちが主役だよな?』って思うくらい、生き生きとされてらっしゃいました(笑)。本当に、本物に会えて最高です。渡辺(正行)リーダーにも褒めていただいて、うれしかったです」

中野 「僕が漫才で登場した時に、すごい爆笑さんが笑ってくれているなって思ったんですよ」

ヤス 「そうそう! 『うれしい! ハマった!』と思って」

中野 「と思っていたら、放送終了後の配信のところで発覚したんですけど、『こんなやつが面白いはずがない!』って笑っていたらしくて(笑)」

ヤス 「『ダメだこいつら!』っていう笑いだったらしいんです(笑)」

中野 「でもそれをね、覆せました!」

――ファーストステージではゼンモンキーと同票でしたが、一般審査員の票を獲得したお二人が勝利し、ファイナルステージに進出。ファイナルステージは圧倒的な票数を獲得し、王者に輝きました。

ヤス 「正直、ファーストステージがギリギリでの勝利だったので『うわぁ、この後どうなるんだろう…』という気持ちでした。そしたらファーストステージ終わりに、ひつじねいりの細田(祥平)さんが『ヤス、声がいつもよりちょっと小さかったから、もっと大きくした方がいいよ』と声をかけてくださって。『えっ、本当ですか。ありがとうございます』と言って、ファイナルステージではちょっと大きめに声を出したらすごくウケたんです。『細田さんありがとうございます。でも、なんでこんなこと言ってくれたんだろう?』って思って。(これから戦う相手だから)絶対言わない方がいいよなって(笑)。『なんであんなこと言ってくれたんですか?』って聞いたら、『ペース乱さないかな~と思って』って(笑)。悪意100%でした、あの人。細田さんとは一緒に住んでいたこともあるのですごくお世話になっているんですけど、嫌な人でしたわ(笑)」

中野 「僕はちょっと、さんだるさんに謝らないといけないなと思っていて。ライブでもお世話になっているんですけど、さんだるさんがAブロックで登場する時、ネタ前のVTRで『年間300本ライブに出てきました!』って言っていたんですよ。でもその後、Cブロックで僕らが出た時のVTRで『年間700本』と言っていて(笑)」

ヤス 「ははははは!(笑)」

中野 「なんか、申し訳ないと思って…」

ヤス 「順番が逆だったら大変なことになっていましたよね。『年間700本出てます!』の後に『年間300本出てます!』なコンビが出てきてもね(笑)」

中野 「そこはすり合わせてもらわないと!(笑)」

――この2本のネタに決めた理由を教えてください。

ヤス 「1本目が『セレクトショップ』、2本目が『ハンバーグ屋さん』というネタなのですが、去年、ずっと研ぎ続けたネタがこの2本だったんです。正直、『M-1グランプリ』に向けてかけていたのですが、『M-1』の3回戦が(ネタ時間が)3分、それ以降が4分なので、3分用、4分用というのをずっと用意していました。『ハンバーグ屋さん』は、ずーっと同じネタを同じ設定で、違うボケをどんどん入れ替えて、みたいにやり続けていたネタで。ちょうどこの『ツギクル芸人グランプリ』が、ファーストステージが3分、ファイナルステージが4分だったので、ぴったりだなと思ったんです。『セレクトショップ』を4分にしたかったんですけど、どうしても3分までにしかできなくて…。どこで使えばいいのかなと考えていた時に、この『ツギクル芸人グランプリ』の決勝進出が決まりました。『ツギクル』のために今まで頑張ってきたんだと思って、うれしかったです」

――優勝賞金100万円の使い道は?

中野 「えっとー、半々に分けて…」

ヤス 「半々には分けるよ。半々に分けないつもりだったの?」

中野 「…半々に分けて(笑)。50万円で両親に一軒家を買ってあげようと思ってます」

ヤス 「正直飯は食えてたんで、使い道はあんまり考えていませんでした(笑)。50万はあります、貯金は!」

中野 「でも、やっぱり劇場でいっぱいネタをやったことでこのネタもできたので、劇場の後輩をご飯に連れて行ったりして、劇場に戻したいっていう気持ちはありますね」

ヤス 「劇場に還元したいですね」

「2人でやっていこうや」

――お二人の出会いと結成に至るまでを教えてください。

ヤス 「なかるてぃんの実家が、江戸時代から7代続くお医者さんの家系なのですが、彼はその一人息子で。弁護士を目指していたんですけど、僕がなかるてぃんの声にひかれて、『コンビ組もうよ!』と大学のお笑いサークルで誘ったのが最初です」

中野 「僕の方が、学年が1個下なんです。存在は知っていたんですけど、しゃべったこともない状態でTwitterのダイレクトメッセージに『漫才しようや!』って送られてきて、僕も『はい』って答えちゃって。それでコンビを組みました」

ヤス 「僕、Hey! Say! JUMPの知念(侑李)くんが好きなんですけど、なかるてぃんの声のキーを初めて聞いた時に『知念くんが声変わりする前のキーと全く同じだ!』って驚いたんです」

中野 「か~ぜを切れ~♪(「Ultra Music Power」の知念さんのパートを歌い出す)」

ヤス 「このキーだったんです。『知念くんだ!』と思って、すぐにアプローチさせていただきました」

中野 「知念くんにあまりDMを送らない方がいいと思う(笑)」

――「芸人になる」という決断に対し、ご家族の反応はいかがでしたか?

中野 「お父さんもお母さんもおじいちゃんおばあちゃんも医者だったのですが、『僕は医者にはならない』って、大学を決める高校3年生の時に言ったんです。その時は将来の選択肢に芸人という道はなかったのですが、『弁護士になりたいから法学部に行く。だからもう医者にはならない』って父親に言って。怒られるかなと思ったんですけど、『お前は偉い』って言われたんです。父親はずっと代々医者家系だったので、『自分は何も考えずに医者になったけど、お前は自分でレールを選べて偉いな』って褒められて。その4年後に『芸人になる』って言ったら、『そんなところにレールはない』と(笑)。でも、今はなんとか応援してもらえています」

――優勝特典として民放各局の番組出演権の贈呈もありましたが、今後の展望は?

中野 「テレビはたくさん出たいですね」

ヤス 「テレビはめちゃくちゃ出たいですね。でも、劇場もめちゃくちゃ出たいです。“ザ・吉本の売れっ子芸人”になりたいです」

中野 「全国も駆け回ってるし、テレビも出て、『もう寝る時間ないですよ!』みたいな感じになりたいですよね」

ヤス 「いっぱい寝れてるんで、今(笑)」

――今後、出演したい番組はありますか?

ヤス 「ずっと僕は、なかるてぃんに『Eテレに出ろ!』って言っているので、“イーテロ”です。イーテロじゃないや」

中野 「“Eテレに出ろ”でイーテロ?(笑)」

ヤス 「Eテレでキャラクターやってほしいです。子どもたちに英語を教えてほしい!」

中野 「僕は、NHKの『紅白歌合戦』で歌を歌いたいです。あとは、『めざましテレビ』(フジテレビ系)にも出たいです」

ヤス 「なかるてぃんの『おはようございます』が僕一番好きなんです。ちょっと言ってみて」

中野 「(とてもいい声で)おはようございまーす!」

ヤス 「もう『めざましテレビ』じゃないですか!」

中野 「各局の朝の番組とかも、僕、そんなに不快感なく出られると思います。よろしくお願いします!」

――「M-1グランプリ」など、今後の賞レースでの活躍にも期待がかかりますね。

ヤス 「どんどん賞レース取りたいですね」

中野 「これを機に取りまくりたいです! 『キングオブコント』も?」

ヤス 「『キングオブコント』ね! まあ、コントはやってないですけど(笑)」

中野 「それから『R-1グランプリ』!」

ヤス 「『R-1グランプリ』…。おのおので活躍するんですか? 2人でやっていこうや」

憧れは「バカリズムさん、マヂカルラブリーの村上さん」

――決勝前日の、昨日はどのように過ごしましたか?

ヤス 「昨日もずっとライブに出ていました。決勝と同じ、『ハンバーグ屋さん』のネタをやったんです。でも『ハンバーグ屋さん』のネタは劇場でやりすぎて、劇場のお客さんは100回くらい見てるんです(笑)。バトルライブだったんですけど、15組中3位とかで」

中野 「(笑)。絶妙な順位で」

ヤス 「そう、絶妙で。ダメでもないし、よくもないっていう順位で、不安だったよな」

中野 「最下位とかだったらね、『一か八かのネタだから、カマしてやるぜ!』みたいな気持ちになれるけど、3位だったんで…(笑)」

ヤス 「お客さんが落語みたいに聞いてるんですよ。『ここのくだりは知ってる! ここをどう表現する?』みたいな感じで見てるんです(笑)」

――今朝は、何か気合を入れるためにしたことはありますか?

中野 「今日の朝は10:00入りとかだったんですよ」

ヤス 「ちょっと早めで」

中野 「僕らの生活からしたらちょっと早めで。朝起きて、『うわ、これどうしよう。コンビニでおにぎり買ってくか…!? いや、あるか、さすがにフジテレビ! あるか朝ご飯、ちょっと行ってみるか』って思って行ったら、朝ご飯がなかったんですよ!!」

ヤス 「こんなの記事にされるわけねえだろ!(笑)」

中野 「でも、用意してくださっていたお昼ご飯がおいしかったです(笑)」

――憧れる芸人さんはいますか?

ヤス 「なかるてぃんは、ずっとバカリズムさんのファンなんです。ファンすぎて、バカリズムさんがテレビに出たての頃『劇場の時のバカリズムのさんの方が好きだったな』って言ってしまうくらい、だいぶ痛いファンだったんで(笑)。でも、今の方がもっと好きなんだよね?」

中野 「今の方がもっと好きです。あと、僕、高円寺に住んでいるんですけど、マヂカルラブリーの村上さんに結構お世話になっていて。僕が出会ったのは1回目の『M-1』決勝にいく直前くらいだったんですけど、そこから最下位になって、また決勝にいって、優勝して…。今は本当にめちゃくちゃ忙しそうなので、僕もそういうふうになりたいという憧れがあります。あれくらいテレビも出ながら、劇場もめちゃくちゃ出て。そして、僕くらい年の離れた後輩にも優しくしてくれて。僕もそんな芸人になりたいです」

【プロフィール】

ナイチンゲールダンス
中野なかるてぃん(1994年8月28日生まれ、山梨県出身)と、ヤス(1993年5月27日生まれ、長崎県出身)が大学時代に出会い、コンビを結成。大学お笑いで活動しながら、2016年に東京NSCに22期生として入学。神保町よしもと漫才劇場に所属。21、22年の「M-1グランプリ」では準々決勝進出。YouTube「ナイチンゲールダンスチャンネル」を更新中。

【番組情報】

「ツギクル芸人グランプリ2023」
フジテレビほか
MC:爆笑問題(太田光、田中裕二) 進行:永島優美フジテレビアナウンサー
<決勝審査員>
審査員長:渡辺正行
審査員:増田英彦(ますだおかだ)、秋元真夏、元祖爆笑王(放送作家)
民放5局のバラエティー番組担当スタッフ5人(三浦伸介、舟橋政宏、浜田諒介、小比類巻将範、日置祐貴)
※TVerで見逃し配信予定

文/宮下毬菜(フジテレビ担当)

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