今年は4年ぶりに"完全"開催 7月20日から27日まで、山口祇園祭

 過去3年間、新型コロナウイルス感染拡大防止のため"縮小"開催が続けられていた山口祇園祭だが、今年は4年ぶりに"完全"開催される。

 これは、八坂神社(山口市上竪小路)の祭礼で、約560年の歴史がある。「裸坊」による御神輿の巡行、山鉾での祇園囃子の演奏、鷺の舞、御旅所(山口市駅通り1)での鷺替え行事(福引き)、市民総踊りなど、各種の神事・行事が、7月20日(木)から27日(木)までの期間中繰り広げられる。

 御神霊を御神輿(八角、六角、四角の3基)に移す「前夜祭・御神輿遷霊祭」は、7月19日(水)午後8時から。ちょうちんの炎だけがほのかにゆらめく暗がりの中、八坂神社の本殿から3基の御神輿に神様の分霊を移す様子は、祇園祭の「あり方」が、最も実感できる瞬間だ。

 20日午後6時からは、八坂神社境内で「浦安の舞」が奉納される。これは、紀元2600年奉祝祭のため1940年(昭和15年)に全国の神社に奉納された神楽舞で、扇の舞と鈴の舞との2部構成。コロナ禍以前は、大殿小と白石小の5年女児4人が毎年交代で担当していたが、昨年までの3年間はコロナ禍で練習もできず、代わりに大人が舞っていた。今年は、大殿小5年の齋藤心都美さん、重枝優衣さん、西村優里さん、宮川哩歌さんが、練習を重ねた優雅な舞を披露する。続いて、山口県指定無形民俗文化財「鷺の舞」奉納、御神幸式へと続く。

 7時には、三体の"暴れ"神輿が出発。過去3年間は、八角、六角、四角の神輿を、駅通りの御旅所までトラックで運んだが、今年は約2キロの市中を、白いサラシに白い半パン、白足袋姿の「男衆」が担ぎ、約2時間練り歩く。受け持ちは、八角が白石地区と協賛企業の人たち約150人、六角が大殿地区と自衛隊山口駐屯地や協賛企業の人たち約130人、四角が宮野地区と協賛企業の人たち約120人だ。神輿の先導役は、祇園囃子を奏でる山鉾が務める。そして、御旅所到着(9時ごろ)後には、御旅所祭として再度、鷺の舞と浦安の舞が奉納される。

▲4年ぶりに裸坊が神輿を担ぐ(写真は雨だった2019年)

 御中日祭の24日(月)には、これも4年ぶりに市民総踊りが開催。25団体・1233人の市民が「大内の殿様」の曲に合わせて、中心商店街(中市・米屋町・道場門前・新町・駅通り)を、午後7時半から9時ごろまで踊り歩く。御旅所では、8時から浦安の舞が奉納される。また、26日(水)午後7時からは、山口西京道院のメンバーが同所で少林寺拳法の演武を奉納する。

 最終日となる27日の御還幸には、1997年(平成9年)年の初登場以来すっかり定着した「女神輿」も4年ぶりに登場。午後7時からの御旅所祭(浦安の舞奉納)に続いて7時半、約100人の法被姿の女性たちが一番軽い四角を担ぎ、六角(大殿)、八角(白石)とともに出発。再度市中を練り歩き、八坂神社へと帰還する。

 神様に市中に鎮座してもらうことで、向暑時の疫病退散や、天変地異の災厄を払う願いが込められたこのお祭り。20日から27日までの毎日、御旅所に参拝する人は途切れず、夜には協賛企業による数多くの提灯がともされる。鷺替え行事(福引き)も4年ぶりに実施され、20日・24日・27日は朝から夜まで、それ以外の日は夕方から夜まで参加できる。

 また、20日・24日・27日に車両通行止めとなる駅通り・新町には露店も多数出店。さらに、訪れた人たちに楽しんでもらおうと、中市・米屋町・道場門前の各商店街は「夜市」も実施する。

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